リンゴ・スター──デニム新時代

ブルーカラーのアイコンとしてアメリカン・スピリットを象徴するデニム。正真正銘にスタイリッシュなクルーを招待し、今シーズンの最も魅力的なジーンズだけでなく、ベスト、ジャケット、コートを着てもらった。第6弾は、元ザ・ビートルズのドラマーであるリンゴ・スターだ。

ザ・ビートルズは、特にブルージーンズを穿いているイメージは持たれていない。むしろ一般的にはスーツブーツ、そして特徴的なヘアスタイルの方が有名だ。とはいえ、彼らもデニムの文化史にまったく関わっていないわけではない。際立った一例として、リンゴ・スターはアビー・ロードを4人が渡っているアルバムジャケットの写真を挙げてくれた。

リンゴ、ジョン、そして裸足のポールはスーツを着ていたが、一番後ろのジョージは濃い色のデニムシャツとイカしたフレアジーンズを着ていた。この構図は即興だったそう。「あれは、あの日に私たちが着てきた服だったんです」と、ビートルズのリズムマンは肩をすくめて言う。「ポールは職探しをしているように見えたけど」と彼は笑いながら話す。ではデニムを着たジョージは?「ジョージは……ただただクールでしたね」と彼は教えてくれた。

スターは自身の撮影で着用したトム・フォード時代のグッチの淡いジーンズを眺め、リヴァプールで工場や「キャヴァーン・クラブ」に通っていた青春時代に着ていたインディゴの“制服”を思い出すと語った。「今はこれがオシャレなんですね。じゃあ、クローゼットに戻って昔のものを取り出さなきゃ」

ジャケット ヴィンテージ品 by Levi’s、ジーンズ ヴィンテージ品 by Tom Ford for Gucci(The Society Archive提供)、Tシャツ、サングラス、ピアス、ネックレス、ピンバッジは私物。

リンゴ・スター

ザ・ビートルズ元メンバー

1969年以来、ザ・ビートルズにとって初の全英ナンバー1ヒットとなった『ナウ・アンド・ゼン』。「この前、ポールとビデオ通話をしながら『ナンバー1だよ、兄弟! やったぜ! 前回から54年ぶりだ!』って言い合ったところです」と語るスターは、ドラムスティックを手放すつもりはいまだにない。それどころか、今春にはEPを2枚もリリース予定で、T・ボーン・バーネットと共にさらにもう1枚を制作中でありながら、自身が率いるリンゴ・スター・アンド・ヒズ・オール・スター・バンドのツアーも目前に控えている。

スターは、ミュージシャン仲間とジャムセッションをする快感はなかなかやめられないと話す。「バンドの一員でいることが大好きだから」と言う彼は、「ピアノでもギターでも、何か弾いてくれたら、一晩中セッションしてあげますよ」と続けた。

Words by Samuel Hine
Photography by Thomas Whiteside
Styled by Jon Tietz
Hair by Will Carrillo using Balmain Hair Couture
Skin by Hee Soo Kwon using La Mer
Translated by FRAZE CRAZE


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ブルーカラーのアイコンとしてアメリカン・スピリットを象徴するデニム。正真正銘にスタイリッシュなクルーを招待し、今シーズンの最も魅力的なジーンズだけでなく、ベスト、ジャケット、コートを着てもらった。第2弾は、カリスマ・ヘアカラーリストのダニエル・ムーンとその仲間たちだ。
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ブルーカラーのアイコンとしてアメリカン・スピリットを象徴するデニム。正真正銘にスタイリッシュなクルーを招待し、今シーズンの最も魅力的なジーンズだけでなく、ベスト、ジャケット、コートを着てもらった。第3弾は、ERLのデザイナーで映像作家のイーライ・ラッセル・リネッツ。
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ポップ・ミュージック界のスーパースター、エド・シーラン。溢れ出す感情をよどみなく歌詞に乗せ、オーディエンスが聴きたいことをつかみとる天才である彼が、友人たちや家族、曲作りに込める思いについて語った。