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アル・パチーノ、唐突に作品賞を発表した経緯を明かす【アカデミー賞2024】

アル・パチーノが、第96回アカデミー賞で物議を醸した作品賞の発表について声明を出した。
Photo: Rich Polk/Getty Images

第96回アカデミー賞の授賞式で、クライマックスとなる作品賞のプレゼンターを務めたアル・パチーノ。代理人を通じて、ノミネート作品の紹介もなく唐突に受賞作品を発表した経緯を声明で発表した。

「昨夜の授賞式で、受賞作品発表の前に私が候補作に触れなかったことが、物議を醸しているようです。あの流れは私の意図したものではなく、授賞式を通して各作品にスポットライトを当てたとする製作陣の判断だったことを、ここにはっきりさせたいと思います。製作陣が意図した発表方法に沿う形で授賞式に関わることができ、光栄に思います」

そのうえで、批判に対し理解も示した。「ノミネートは、一人の生涯において非常に大きな出来事です。十分に触れないことは不快だし、傷つける行為であるとはっきり理解します。映画製作者や俳優、プロデューサーの皆さんと関わる者として、この件で軽んじられたと感じる皆さんに深く共感します。私がこの声明を発表する必要性を感じたのも、それが所以です」

『ゴッドファーザー』シリーズなど数々の傑作に出演しているパチーノは、アカデミー賞では9度ノミネート、1992年公開の『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』で主演男優賞を獲得している。先日の授賞式では、客席からスタンディングオベーションで迎えられると、シェークスピア劇を得意とする彼らしく、『ハムレット』のセリフを引用しようとして長くなるからと笑顔で切り上げてから、「さて最後の賞を発表する時間です」と切り出し、「素晴らしい10作品がノミネートされていますが、作品賞を受賞できるのは1作のみです。では、封筒を開けてみましょう」と続け、「開けますよ…」「いよいよです…」ともったいぶりながらも、「『オッペンハイマー』と書かれています」と発表した。例年とは異なり、いきなり受賞作品がアナウンスされたため、会場のゲストたちからすぐ反応が起きず、パチーノが続けて同作のプロデューサー陣の名前を読み上げると、ようやく歓声が上がった。

授賞式のプロデューサー、モリー・マクネアニーは「ヴァラエティ」に対し、パチーノが候補作を発表しなかったのは「クリエイティブチームの決断でした」とコメント。すべての候補作は授賞式の合間合間に紹介していたので、長くなりすぎることを懸念したのが理由だそう。「皆さんは、授賞式の最後までに作品賞候補10作品の映像を目にしています。誰もが受賞作品を早く知りたいと望んでいたし、授賞式の終わりに向けて心の準備も十分できていた。少なくとも、私たちはそう期待していました。ですから、アルに候補作の紹介をさせませんでした。彼を面倒な立場に立たせたなら、謝罪します」

またホストを務めたジミー・キンメルも、授賞式後のインタビューでこう明かしている。「彼はきっと今まで授賞式を観たことがないんだ。アメリカに住む誰もが、授賞式には『And the Oscar goes to…(受賞作品は…)』という決めセリフがあることを知っているけれど、アルは知らなかったんだね! 彼に幸あれ!」

Text: Tae Terai