2008年に製作されたバズ・ラーマン監督による映画『オーストラリア』。第2次世界大戦目前の雄大なオーストラリアを舞台に、ニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマン主演で描いたアドベンチャーロマンスを新たに再構築したドラマ「ファラウェイ・ダウンズ」(全6話)が、ディズニープラス「スター」で配信中だ。映画公開から15年を経て、ドラマの製作総指揮を務めたラーマンが『ヴァラエティ』のインタビューでこの物語を紡ぎ直した理由を明かした。
「メロドラマなので、映画としてすでに逸話がふんだんにあります。ドラマでは、各エピソードの最後で悲劇が起こり、次に起こる事態の真の理由を示唆します。一本の映画に収めるためにカットした大切なシーンがたくさんあり、ドラマではそうしたシーンを単なる付け足しではなく、物語を違う方向から語るために用いました」
『オーストラリア』では、ロンドンに戻らない夫を訪ねオーストラリアへ渡った英国貴婦人のサラ(ニコール)が、アウトローのカウボーイ(ヒュー)やアボリジニの少年(ブランドン・ウォルターズ)と出会い、相続した牧場「ファラウェイ・ダウンズ」を守るためオーストラリア横断の旅に出るなかで、彼女に起こった心の変化が描かれる。
例えば、夫の死を知ったシーンでは牧場を我が物にしようと狙う管理人が、彼女のような女性のいるべき場所ではないからと、諦めて去るようサラに告げる。映画ではカットされたシーンだが、ドラマでは最初のエピソードで女性という理由だけで、サラを言いなりにしようとする男たちがが印象的に描かれる。「なくても問題ないかもしれませんが、撮影しました。このシーンを含めることで、ニコールと地元の男たちの関係性がわかり、ヒューとニコールの関係性の際立たせることになります。危機感は高まり、バックグラウンドをより深く知ることができます」とラーマンは語る。
ラーマン監督が『オーストラリア』のために撮りためた膨大な量のフィルムを再構築し、6章構成に仕上げた拡大版となっている「ファラウェイ・ダウンズ」では、映画とは異なるエンディングが用意されている。
Text: Tae Terai