1月15日(現地時間)に開催された第28回クリティクス・チョイス・アワード(放送映画批評家協会賞)。フィラデルフィアの公立小学校を舞台に教師たちの奮闘を描いたドラマ「アボット エレメンタリー」でベテランの教師であるバーバラ・ハワードを演じた66歳の俳優シェリル・リー・ラルフが、コメディ部門助演女優賞を受賞した。
賞を受け取り、感極まった様子でステージに立ったラルフは、はじめに若き頃に味わった苦悩について語った。
「数々の過ち、数々の不運、数々の“ノー”、数々の拒絶を経験してきました。19歳のとき、私はとある人から『あなたの居場所は、この業界にはない』と言われました。そんなとき、シドニー・ポワチエは私の目を見てこう言ってくれたんです──『君はいい役者だ』と」
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それから、「アボット エレメンタリー」をともに作り上げてきた俳優やクルーの名前を一人ひとりあげ、感謝の気持ちを伝えたラルフ。スピーチの最後、彼女はカメラのレンズを真っ直ぐに見つめ、まるで映画の世界に突如引き込まれるような迫力で、言葉を噛み締めながらこう語り出した。
「今、私の声に耳を傾けてくださっている皆さま、よく聞いてください。すべての人に好かれる必要はありません。すべての人に愛される必要も、リスペクトされる必要もありません。でも、あなたが鏡を見たときに、そこに映る人を必ず愛してください。鏡に映る、自分自身を愛してください!」
場内からは彼女への惜しみない拍手が贈られると同時に、わずか30秒間にぎゅっと詰め込まれたラルフの人生のアドバイスは、瞬く間に世界中へと拡散された。もしも「セルフラブ賞」があるとしたら、ラルフのこのスピーチに贈りたい。
Text: Mina Oba