撮影/松山勇樹

アイドルから演歌歌手へ・望月琉叶「貧しかった母が諦めた夢…大手企業の内定を断って」

2024.04.27 06:03
提供:ENTAME next

元アイドルで、現在は演歌歌手としてお年寄りから子供まで幅広い層に支持される望月琉叶(27歳)。ゲリラ的な配信で知名度を上げるなど、群雄割拠する演歌界の中でも異色の存在であることは間違いない。だが、そもそもなぜ彼女は演歌歌手になったのか? 前後編で構成される記事・後編では、幼少期からの一貫した想いや歌手としての目標などを中心に語ってもらった。

 演歌歌手に絶対なるんだ──。望月琉叶がそう心に誓ったのは、まだ小学校低学年の頃だった。きっかけは母親がかつて演歌歌手を志していたものの、挫折したという過去を知ったから。その崩れてしまった夢を、娘である自分が叶えようと考えたのである。

「母の実家は貧しかったみたいでして。とにかく母が働いて、実家に仕送りをしないとやっていけないと。それで高校を卒業するとすぐに上京し、演歌を捨てて企業に就職することになったんです。その話をあとから聞いた私は、なんだか切ない気分になったんですね。こうなったら自分が演歌をやるしかないという使命感が沸いてきたんです。

もちろん小学生の自分には、先生に弟子入りするとか、レコード会社のオーディションを受けるとか、具体的な演歌歌手のなり方なんてわかっていませんでしたが」

 その頃になると、母親は父親とともに小さな美容院を営むようになっていた。夜になって客が帰ると、店はコンサート会場に様変わり。娘は得意満面で覚えたての演歌を歌うのが習わしとなる。

「親戚とかとカラオケに行っても、もちろん演歌ばかり歌っていました。中でも十八番が美川憲一さんの『柳ケ瀬ブルース』。YouTubeで見つけて観たんですが、色気のある艶やかな歌声で心を鷲掴みにされたんですよね。本ッ当に最高だと思いました。バーでお酒を持つ美川様の姿も渋すぎるなって。

友達とカラオケに行っても、入れるのは必ず『柳ケ瀬ブルース』。周りは大塚愛さんの『さくらんぼ』とか、モー娘。とかが多かったから、めちゃくちゃ珍しがられました。でも、なんかその騒がれている感じも自分的には気持ちよかったんですよ。『あれ? モテてるのかな?』なんて勘違いして(笑)」 もちろん望月とて、同年代の少女たちと同様に様々な流行カルチャーを吸収していった。音楽ではボーカロイドやL’Arc-en-Cielにハマり、高校時代は軽音楽部でバンド活動も行うようになる。しかし心の中心にあるのは、やはりいつだって演歌だった。

「演歌歌手になりたくてオーディションも受けるようになったんですけど、合格しても『アイドルグループでデビューしませんか?』という話になることが多かったんですよ。街を歩いていてスカウトされることも結構あったんですけど、そこでも『女優になりませんか?』『アイドルになりませんか?』というパターンばかりで。ガッカリしますよね。

私は芸能人になりたいわけではなく、あくまでも演歌歌手になりたかったので。そうこうしているうちに大学4年生になって周りが就活を始めたものだから、私も真似してリクルートスーツを着てみたら、明治安田生命さんに内定が決まったんです。そこで演歌の道は完全に途絶えるはずだったんですけどね」

 友達の誕生日プレゼントを買いに代官山をぶらついていた望月は、現・所属事務所社長からスカウトの声をかけられる。聞けば、またしてもアイドルグループ加入のお誘いだった。「アイドルはやる気ないんですけど……」。そう言いかけたところ、アイドルはアイドルでも名前は「演歌女子ルピナス組(のちに「民族ハッピー組」と改名)」であり、演歌がテーマのグループだということが告げられる。

さらに望月にとって魅力的だったのは、演歌歌手ルビナス組が海外での活動も積極的に行っていたことだった。正直、日本のアイドルシーンでは決してメジャーとは言えないグループだったものの、アジア圏での人気は意外なほど高かった。望月自身も学生時代にボランティア活動で東南アジアに行く機会があったため、海外志向は人一倍強かったのだ。

「内定をもらったとき、両親は喜んでパーティみたいなことをやってくれたんですよね。だけどいろいろ考えた末にアイドルをやろうと決意して、『ごめん。また改めて話があるんだ』と切り出しまして……。親戚は『その話、本当に大丈夫なの?』とか心配していました。安定した仕事を捨てるなんてもったいないという気持ちだったんだと思います。

母は私が演歌歌手を目指していたことも知っていたから、『琉叶がそこまで言うなら』って応援してくれましたけど。いずれにせよ、もう後戻りできないなと覚悟を決めたのは確かです」

 そこからは怒涛の勢いでアイドル活動に邁進した。グループに加入したのが2018年。やがて持ち前の歌唱力で頭角を現すようになり、2020年からはグループ活動と並行するかたちで演歌歌手としてソロデビューを果たす(グループには2022年末まで在籍)。2021年12月には日本レコード大賞で新人賞も獲得。長い下積みが当然とされる演歌界にあって、この上なく順調なスタートダッシュを切ったといえるだろう。「その頃はコロナまっただ中だったので、演歌の世界では新人のデビューがほとんどなかったんです。というのも、演歌って昔からキャンペーン周りが生命線なんですよ。しかも演歌ファンってお年寄りが多いじゃないですか。3密とか言われていた時期だし、今は何もできないというのが全体のムードだったんですね。

だけど私はアイドルをやっていたので、集まれないなら配信とかSNSでカバーすればいいんじゃないかという考え方。それまでの演歌にない動きをしたことが、結果的にはよかったんじゃないかと思います」

 現在、演歌界では第7世代と呼ばれる若い歌手たちが台頭したことで活況を呈している。かつての氷川きよしや純烈がそうだったように、アイドル的な人気を持ったスターたちは演歌のファン層を確実に若返らせた。女性歌手である望月も、広く捉えるとこうした演歌ニュージェネレーションの代表格といっていい。

「将来の目標ですか? それははっきりしていまして、ズバリ紅白(『NHK紅白歌合戦』)です。演歌をやっている以上、そこを目指さないのは嘘だと思うんですよ。誰でも知っているようなヒット曲を出して、紅白に出て、そしてゆくゆくは海外でもコンサートができるようになりたい。

やっぱりどうしたって私は演歌の世界では異色の存在になってしまうんですけど、自分にしかできないことをやりたいという気持ちは強いんですね。これからも感謝の気持ちを忘れずに、望月琉叶ならではの唄を届けていきたいです」

 かつて母が夢見た演歌の花道。娘は今、確実にそれを手中に収めつつある。

関連リンク

関連記事

  1. SKE48 古畑奈和、「自分は誰かの役に立てている」10年突き進んだ"アイドル"という職業
    SKE48 古畑奈和、「自分は誰かの役に立てている」10年突き進んだ"アイドル"という職業
    ENTAME next
  2. 美女コスプレイヤー・蒼猫いな、フェチ感じる衣装で美スタイル完全解禁【写真10点】
    美女コスプレイヤー・蒼猫いな、フェチ感じる衣装で美スタイル完全解禁【写真10点】
    ENTAME next
  3. 10年ぶりの写真集、中川翔子「過去最大の露出に挑戦したきっかけは江頭2:50さんの一言」
    10年ぶりの写真集、中川翔子「過去最大の露出に挑戦したきっかけは江頭2:50さんの一言」
    ENTAME next
  4. 中川翔子、すべてを出した10年ぶり写真集を語る「血管を褒められる体験は初」
    中川翔子、すべてを出した10年ぶり写真集を語る「血管を褒められる体験は初」
    ENTAME next
  5. 桃月なしこ、話題のフォトスタイルブックからナチュラルな白ランジェリーショット公開
    桃月なしこ、話題のフォトスタイルブックからナチュラルな白ランジェリーショット公開
    ENTAME next
  6. 似鳥沙也加、まん丸バストを置きパイした泡風呂グラビアに「キュンが止まらない」
    似鳥沙也加、まん丸バストを置きパイした泡風呂グラビアに「キュンが止まらない」
    ENTAME next

「ニュース」カテゴリーの最新記事

  1. 「いま何分?」で1週間の運勢がわかる チクタク占い(5月27日〜6月2日)
    「いま何分?」で1週間の運勢がわかる チクタク占い(5月27日〜6月2日)
    fumumu
  2. 【漫画】「三銭あればお醤油が買えちゃうんですよ!」没落令嬢は守銭奴だということがバレて…?/後宮の黒猫金庫番(4)
    【漫画】「三銭あればお醤油が買えちゃうんですよ!」没落令嬢は守銭奴だということがバレて…?/後宮の黒猫金庫番(4)
    WEBザテレビジョン
  3. 【漫画】「彼を無傷で守るのは難しいかもしれない…!!」ペンラを武器と勘違いしている伝説の殺し屋は…/SAWA-元殺し屋の推し活-(7)
    【漫画】「彼を無傷で守るのは難しいかもしれない…!!」ペンラを武器と勘違いしている伝説の殺し屋は…/SAWA-元殺し屋の推し活-(7)
    WEBザテレビジョン
  4. 【漫画】「大人しく黙って子供を産みなさい!!」重婚男と何かを企む女性に閉じ込められそうになり…?/夫は私の夫じゃない(11)
    【漫画】「大人しく黙って子供を産みなさい!!」重婚男と何かを企む女性に閉じ込められそうになり…?/夫は私の夫じゃない(11)
    WEBザテレビジョン
  5. 【明日の虎に翼】闇市をさまよい優三と食べた焼き鳥を思い出す寅子、優三の言葉がよみがえってきて
    【明日の虎に翼】闇市をさまよい優三と食べた焼き鳥を思い出す寅子、優三の言葉がよみがえってきて
    ENTAME next
  6. 【漫画】妖怪たらしの少年を見つめていたのはなぜ…橋の怪異が語る意外な本心に「幸せになってほしい」と反響多数
    【漫画】妖怪たらしの少年を見つめていたのはなぜ…橋の怪異が語る意外な本心に「幸せになってほしい」と反響多数
    WEBザテレビジョン
  7. しかない料理のイガゴー氏の「ブロッコリーのナムル」は一株ペロリ 栄養と旨みが凝縮
    しかない料理のイガゴー氏の「ブロッコリーのナムル」は一株ペロリ 栄養と旨みが凝縮
    Sirabee
  8. 王林、履いてもスケスケ丸見え…シースルーパンツ姿の美脚ショットに「スタイルまじバグっ!」とファン興奮
    王林、履いてもスケスケ丸見え…シースルーパンツ姿の美脚ショットに「スタイルまじバグっ!」とファン興奮
    WEBザテレビジョン
  9. 超ときめき宣伝部「時代に感謝」…メンバーが語る令和アイドル活動の“変化”とは、TiKToK・YouTube・ライブの好循環でファン急拡大
    超ときめき宣伝部「時代に感謝」…メンバーが語る令和アイドル活動の“変化”とは、TiKToK・YouTube・ライブの好循環でファン急拡大
    WEBザテレビジョン

あなたにおすすめの記事