ユーチュラ

人気YouTuberを陰で支える名裏方にインタビュー

2024.04.17 23:30
提供:ユーチュラ

YouTuberがより専門的で大規模になるにつれ、多くの人気YouTuberは、個人からチームへの制作へと移行しています。この変化の中で、裏方の役割もより重要になってきています。
しかし、動画で見えないのが裏方の活躍。そこで今回ユ―チュラでは、人気YouTuberを陰で支えるプロデューサーにインタビューし、YouTube業界についてや動画制作の舞台裏について聞きました。

人気YouTuberを陰で支えるプロデューサー

インタビューに答えていただいたのは、饗庭(あいば)拓弥さん。饗庭さんは、大手広告代理店に就職後、独立し現在は「株式会社電球」の代表として、企業の広告に関わるプロモーションやマーケティング、またYouTuberのプロデュース事業をおこない、何組もの人気YouTuberをサポートしています。

すごくいろいろな動画での出演や、クレジット(概要欄)でお見かけするのですが、いろんなYouTuberさんたちと仕事をされていますね。その中で饗庭さんはどのようなことをしているのですか?

基本的にパシリです。(笑)

というのは冗談で、プロデューサーという肩書きはありますが、正直僕はプロデュースなんて大それはことはしていないです。あと、皆さんの思う「プロデューサー」とちょっと違うと思います。

「プロデューサー」という言葉は、捉える人によって大きく意味を変えるものだと思っているのですが、基本的に僕は広告業界にいるので、基本的に広告業界としてのプロデューサーという意味で使っています。僕なりに表現すると「空想を実現に導く役割」みたいな感じですかね。

具体的に例を挙げると、例えば「自分の書いた漫画を映画にしたい!」という人がいたとします。では、この漫画ってどうやって映画にしていくのか? ざっくりになりますが、漫画を描く人、映画に出演する人、映像を撮影する人、映像を編集をする人、クオリティを管理する映画監督、撮影する場所、遠くへ行って撮影する場合はロケ場所、そのロケ場所の候補を出す人、スケジュールを調整・管理する人、売上を管理する人…
そして、もちろんそれらを依頼するための「お金」が必要となってきますよね。

このようにさまざまな人たちの協力やお金がなくては「映画にする」という空想を実現することはできません。

僕の役割はそのマネタイズの部分(お金を集める手段)から、実際に映画を作り上げるまでさまざまな方々とやりとりを経て「実現する」ところまで持っていくことがミッションとなります。

「空想を実現に導く」みたいなちょっとかっこいい感じで言いましたが、基本こんな感じです。(笑)
漫画と映画で例えたんですが、他のこと関しても基本そんな感じだと思っています。

そういう意味で言うと、やっている役割の本質的には「制作プロデューサー」に近いのかもしれません。もちろん全てにおいて戦略は必要になってくるので、戦略も考えたりしますが。

YouTubeに向いているのはどんな人ですか

最近思ったことがあるんですけど、YouTubeにおける単純な行動心理の答えを見つけたんです。超初歩的ではあるんですけど、見落としがちなことというか…

それはYouTubeに投稿している人は全て「見てもらいたい」という欲求を持っているということです。これ気づいたの革命じゃないですか?(笑)
YouTubeの世界には「僕は誰に見られたいわけでもなくて、自己満でただ動画を上げてるよー」って人なんかいないってことです。

だって自己満の世界でやっていたいのならば、自分だけが見れる自分のパソコンにでも保管しておけばいいじゃないですか? わざわざ誰でも無料で見れるプラットフォームで動画をあげる以上、やはり見てもらいたいんだなって。そういう意味で言うと、全員「数字(再生数)は絶対欲しい」わけじゃないですか。

僕はYouTuberじゃないのでわからないですが、見てて思うのはYouTuberで成功できる人っていうのは、楽しめてて、かつ飽き性じゃない人じゃないですか。YouTubeは数字が伸びたほうが楽しい。伸びるにはどうするかというと、基本的には定期的に投稿することがベースになると思います。競合ひしめく中で、視聴者に支持される相当な独自性を持っていない限りは、基本的にそこが本当に基礎中の基礎になると思いますね。

ただ、上級者になると「対視聴者」に向けてというよりも「対Google」に向けてコンテンツを出している感覚になるんじゃないですかね? 結局はアルゴリズムを理解しようと研究して、そこを狙いにいくのが大事だと思うので。

饗庭さんによると、わかりやすく数字を伸ばすにはトレンドを押さえることや、頻繁に更新されるYouTubeのガイドラインを見て運営側の意図を推察することも大事なのだとか。

定期投稿して3カ月ほど経つと「アルゴリズムにハマり始めて」チャンネルが成長していくことが多いそうです。饗庭さんの分析では、YouTube側は動画に寄せられるコメントの数だけでなく、その投稿のワード内容、高評価数・低評価数なども加味して、総合的にチャンネルを評価していると思われるそうです。

次ページ:YouTubeは戦国時代?

YouTubeは“戦国時代”と言われていますが…

よくあるエンタメ系のジャンルで登録者を伸ばしたいなら、そうだと思います。戦略を持たずにYouTubeをやる人が多いのかな?って感じます。基本的にYouTuberの方って、社会経験もない高校生や大学生のときに人気になっちゃって、すると、ある日突然Googleから口座に大金が振り込まれて「あ、俺はこの生き方をしていったら金持ちになれるんだ」って思ってしまうのでは。

饗庭さんの経験では、伸びるチャンネルにはYouTubeのアルゴリズムから「激推し」される時期が訪れるのだとか。その期間には何を投稿しても伸びるそうですが、登録者が30~50万人になると、激推しが止まる上、ネタ切れになるYouTuberも多く見るとのこと。「何を出しても伸びなくなる」「壁」にぶつかることもあるようです。

この現象は、視聴者の生活や興味関心の変化から起こる“視聴者離れ”とも考えられるものの、そんな中でYouTuberがアドセンス(広告収入)だけに頼ってこの先何十年と生きていくのは厳しいのでは?とも饗庭さんは感じているそう。

一方、広告収入を目当てにするのではなく、YouTubeを「集客ツール」として活用する方法もあると饗庭さんは語ります。

僕はYouTubeを集客ツールと捉えることもあります。そういう意味だと戦国時代ってことは一切なくて、一定の視聴者層を集めることは可能だと思います。例えば、YouTube外で提供するビジネスのお客さんを集める、みたいなことですね。将来を見据えて、そこのビジネスの事業の部分を一緒にクリエイターさんと考えることも多いです。

この場合は、登録者の数よりも、熱量のあるファンを集められるかが重要になるそう。饗庭さんがプロデュースした中には、YouTubeの登録者は1万人に満たないものの、他のプラットフォームやサブスクなどを活用して数千万円の年収を達成したクリエイターもいるそうです。

トレンドを押さえるには?

本質的には流行の発信源になる10代の学生(特にスクールカースト高め)とたくさん会話できる環境は強いと思います。
でも、やはりTikTokがヒントになるんじゃないでしょうか。YouTubeを一番よく見る層にターゲットを絞ると、10代、20代前半の子たちが狙い目になりますよね。トレンドはTikTokのほうが圧倒的に早いので、流行りに乗りたければTikTokをめちゃくちゃ研究したら伸ばしやすいのではと思います。

それを実現して成功したのが最近だとスパイダーメーンとかだと思います。海外でウケているコンテンツをピックアップして、どれをやりたいかっていうのを選定して、それをどこからやるかと。

元ヴァンゆんの「ヴァンビ」(登録者数215万人)は2022年、素性を隠した上で「スパイダーメーン」(同1750万人)というチャンネルを開設。スパイダーマンのコスプレで海外でバズったネタ動画などを投稿し、2023年7月に日本のYouTube史上最速で登録者1000万人を達成しました。同月、ヴァンビは自身の素性を明かした際、YouTubeにかける思いを涙で告白しています。

次ページ:実はお金がないYouTuberも多い?

実はお金がないYouTuberも多い?

人気YouTuberはリッチというイメージがありますが 世間一般から見て、YouTuberってお金持ちに思われるかもしれませんが、あまり持ってないこともあると思いますよ。(笑)

YouTuberにとっての大きな収入源の1つが、動画が再生されたときに表示される広告による収入(Googleアドセンス)です。饗庭さんによると、アドセンスの相場は「1再生0.3円程度」だといい、

単純計算だけで言うと動画が50万再生だったとき、入ってくるお金は15万円。例えば100万円かかる企画なんてやろうとしたら超大赤字です。

大規模企画になると数百万円~数千万円かかることもあるため、広告収入で黒字にするのはほぼ不可能。企画費用で金欠になっているYouTuberもいるようです。

そんなYouTuberのために、饗庭さんは企画段階から加わって、企業とのタイアップなどマネタイズ戦略を練ることもあるそうです。饗庭さんはYouTuberから「ATM」や、ドラゴンボールの「神龍」などと呼ばれているのだとか。

クリエイターと関わる上で難しいところは何ですか?

YouTubeでは、「大人の影が見える」と、再生数が伸び悩んだりファンが離れる現象が起こったりすることがあるんですよね。
例えば、編集テイストをちょっと変えて、動画のクオリティーを上げたら、視聴者から「外注してる」と、あたかも悪いことのように言われてしまって、それが視聴者離れに繋がったりすることもあります。

なので、クリエイターと関わる際は、あくまで人様の持ち物(チャンネル)なので、動画に出たりする場合は自分の気配はできるだけ消すこともあります。だから僕って、視聴者から見ると「何者?」って思われてるでしょうね。(笑)

でも、友達くらい仲良くなれた人たちのチャンネルでは、カメラ回ってる時にやりたい放題することもあります。下ネタ言ったりふざけたりとか。「だいにぐるーぷ」(登録者数106万人)とか。「いだちゃんねる」(同57万人)とかで。(笑)

炎上で大きな影響が出たことはありますか めちゃめちゃ聞いたことはあります

1つの炎上で、数億円単位の取引がなくなることもある様子。最近のYouTube界の大炎上といえば、昨年秋の「東海オンエア」(登録者数702万人)の騒動が思い起こされますが、饗庭さんは「大変なことになっていたと思うんですよね」と裏方の苦労を慮り、

炎上って怖いですよね。チャンネルに企業が絡んでいたりすることもあるので、表に出てる以上に裏では大変なことが起こっているかもしれないですね。

と意味深にコメントします。

やりたいことは「いたずらで日本を沸かせたい」それだけです

今後は会社を大きくする予定ですか 規模を大きくして上場しようとか、事業を売却しようとか、そんな考えは今のところ全くありません。上場すると株主の顔色を窺わないといけないので。(笑)
ただひたすらにおもろいことずっとやっていきたいです。僕のやりたいことは「いたずらで日本を沸かせたい」――それだけです。

と笑顔で語った饗庭さん。いたずら好きは子どもの頃からだったといい、それは今も変わらないようです。

お金になるとかならないとか、そういうことは横に置いておいて、YouTubeの枠にはまらないエンタメコンテンツを作っていきたいですね いま一番力を入れて一緒に取り組んでいるYouTuberは誰ですか? 「力を入れて」という表現はちょっと違うかもしれないですが「だいにぐるーぷ」と一緒に活動をする事は多いです。
だいにぐるーぷとは思想が合うというか、面白いと思うことのベクトルが似ているというか…さっきも言ったように、僕が思い描く「YouTubeの枠にハマらないエンタメコンテンツ」で世間を沸かせると言う部分で、彼らとならそれができそうだと勝手にすごく可能性を感じています。みんな才能もすごいあるし、いつも勉強させてもらってます。あと、すごくいい奴らです。
見た事がない人は絶対1回見てあげてほしいです。

饗庭さんによると、世間が驚くほどの企画も水面下で進行中とのこと。どんな発表があるのか楽しみです。

(C)ユーチュラ
出典:ユーチュラ(https://yutura.net/)

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