モデルプレスのインタビューに応じた山田裕貴(C)モデルプレス

山田裕貴「イケメン反抗期」乗り越え今…“道場破り”が抜擢のきっかけに「かけがえのない経験」 モデルプレスインタビュー

2016.08.12 21:31

「HiGH&LOW」シリーズ(2015年~2016年)、映画「オオカミ少女と黒王子」(2016年)、「青空エール」(8月20日公開)、「闇金ウシジマくんPart3」(9月22日公開)、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(12月17日公開)など、話題作への出演で注目を集める俳優・山田裕貴(25)。デビューは2011年、テレビドラマ「海賊戦隊ゴーカイジャー」(テレビ朝日系)。そして、8月19日には初の主演舞台「宮本武蔵(完全版)」が幕を開ける。同作への出演のきっかけを作ったのは、「“道場破り”のようにワークショップを受けた」こと。そこで前田司郎監督と出会い、認められ、映画「ふきげんな過去」(2016年)と続けて抜てきされた。モデルプレスでは、今回、山田にインタビューを実施。今後のさらなる活躍が期待される彼の内側に迫った。

山田裕貴、“等身大”の宮本武蔵になる

同作は、伝説の剣豪として世に名を知らしめるも、その内面は臆病な男、宮本武蔵を描く会話劇。五反田団初の本格時代劇として2012年に上演された「宮本武蔵」に加筆して上演され、理想のヒーロー像とはかけ離れた主人公・武蔵を山田が演じる。

今回の作・演出を手掛ける前田は山田の起用について、過去に「僕はイケメンに偏見を持っているので、山田くんがワークショップに来てくれたときも『どうせイケメン芝居するんでしょ?』と思っていたが、馬鹿みたいな芝居をセンス良く真面目にやってくれた。イケメンを少し見直した」と語っている。

それだけ、彼の芝居に魅了された証。その言葉が、「めちゃくちゃ嬉しかった」と山田。“イケメン俳優”の肩書で語られることも多い彼が、胸に抱く本音の数々を語る――。

“道場破り”がきっかけに

山田裕貴(C)モデルプレス
― 前田監督とは、ワークショップで出会ったということですが…。

山田:そうなんですよ。前田さんは「イケメン俳優嫌だ」って公言されている方なんですけど、僕もそう見られることが悔しくなった時期があって、その頃に。もちろん、それがきっかけで見てくださる方がいるっていうのはとても嬉しいことなんですけど、「歌ってんの?踊ってんの?」って現場でも聞かれることが多かったんです。それで一昨年くらいかな?“道場破り”のようにワークショップを受けました。いくつか参加させていただいた中で、前田さんと出会って、僕の芝居を見て「見直した」って言って頂いて、それをきっかけに「ふきげんな過去」に出演させていただきました。それで次が、この舞台です。

― 自分の1番認めてほしい部分を認めてくれたのが、前田さんだったわけですね。

山田:めちゃくちゃ嬉しかったですよ。そのワークショップは僕にとっては、かけがえのない経験になりました。

― もしかしたら否定されるかも…という怖さはなかったですか?

山田:それも面白いなという感覚でしたね。もちろん嫌は嫌ですけど、否定されるのも自分がより良くなる為の経験の一つだ思って参加しました。「これは響くんだ」「これはダメか」って。ワークショップで前田さんと出会えて映画「ふきげんな過去」に呼んで頂いたり、今回の舞台も実現ができました。本当に人との繋がりって大事にしないとなって思いますね。

悔しさバネに1ヶ月半で10kg減 “イケメン反抗期”乗り越え今

山田裕貴(C)モデルプレス
― 繋がっていく中で、実感や手応えを得ていくと。それはお芝居でも同じことが言えるかと思いますが、役者人生を振り返って、その手応えを1番感じた瞬間はいつですか?

山田:「ストロボ・エッジ」と「HiGH&LOW」かな。まず「ストロボ・エッジ」は、自分がそれまでやってきた中で、1番多くの劇場数、人気マンガが原作、有村架純ちゃんを巡る福士蒼汰くんのライバル役っていうポジション…もう賛否の“否”しかなかったですから。

― それは公開前の反響?

山田:はい。「観たくない」とまで言われてて、めっちゃ悔しかったです。それで減量して、1ヶ月半で10kgとか。週4~5日、雨の日も風の日も10kmくらい走って、かなり自分を追い込んでいたんです。「俺、ボクサーになるのかな?」とか思いました(笑)。ちょうどその前には“イケメン反抗期”みたいなものもあって、「顔でやってないし!」ってとにかく色んな方向に燃えていたんですよね。髪型も作品の役柄によって切るので、自分の好きな様に切ったことないんですけど、当時「その髪型似合ってない」とかファンの方に言われることもありました(笑)。

― 色々な葛藤と戦っていた時期だったということでしょうか。

山田:そうですね。僕はそこにいないから、役を好きになってもらわないと意味がないんだって気持ちでした。この作品で廣木隆一監督と出会い僕の中で大きく何かが変わりましたね。

山田裕貴(C)モデルプレス
山田裕貴(C)モデルプレス
― 「HiGH&LOW」の村山は、ハマリ役だと話題になりましたね。

山田:自分でもびっくりするくらい。嬉しかったです。キャストも多かったし、チーム別に描かれる作品だったので、ほかに負けられないって。アドリブも結構多いんですよ。映画の最後の方、村山が去っていくシーンでもアドリブを入れています。そうやって考えると、1番役を生きられたって意味では村山なのかな。「俺こっち側なんだ」って気が付きましたね。ポンポン出てくるんですよ、言葉が。結局、4から5割はアドリブが使われています。「HiGH&LOW」の反響は本当に大きかったですね。

― 本当に村山を生きていたんですね。先ほど出てきた“イケメン反抗期”について、詳しく教えていただけますか?

山田:元々、外見で判断するのが嫌なんです。それが特に嫌だって感じていた時期です。広い話になるんですけど、同じ人間なのになって。家族だって本当のところは100%分かるわけじゃないけど、どんな人のこともできるだけ理解したいって気持ちがあるんです。僕らの仕事って、その役の気持ちや人生を考える職業だから、人の気持が分からない人間人にはなりたくないなって思ったんですよ。

― 心を大事したいという気持ちが、“イケメン反抗期”に?

山田:第一印象とかイメージから入ることは当たり前だっていうことも分かってるんですけどね…。ただ、僕はかっこいいより、良い人間だねって言われた方が嬉しいですね。

夢を叶える秘訣は?

山田裕貴(C)モデルプレス
― その感覚から言うと、舞台「宮本武蔵(完全版)」で演じる宮本武蔵は、歴史上で語られているイメージとは違う臆病な性格ですが、山田さんが抱いている思いと通じるところもあるのではないでしょうか?

山田:そうそう、宮本武蔵って人斬りのイメージが強いし、かっこよく描かれてることも多いですけど、今回はそうじゃない一面もあったんじゃないかってことを描いているんですよね。前田さんの持論として「人間って根本の部分は変わらない」っていうのがあって、だから宮本武蔵だって「本当は人を殺すときにためらいがあったんじゃないか」ってところに切り込まれている。この舞台での宮本武蔵は、誰よりも人間らしくて、ただみんなと一緒にいたいだけなのに、イメージが先行してどんどん孤独になっていくんです。

― イメージとの間で悩む宮本武蔵に、共感できる部分は多いですか?

山田:名前なんて所詮名前ですし、イメージだってイメージでしかないと思うんです。宇宙があるのも地球があるのも奇跡だし、本当は生きてるだけで幸せなんですよ。だから、周りの声に惑わされすぎずにいたいって意味では共感できます。

― では、最後になりますが、そんな山田さんが考える「夢を叶える秘訣」を教えてください。

山田:ネガティブなことを言わない。言霊って絶対にあると思うんです。「こんな風になりたい」「あんなことをしたい」って思い続けることが夢に近づく一歩だと思います。夢を追うことってときにしんどいけど、自分だけじゃないから。

― ありがとうございました。

夢は「死ぬときにニュースになる俳優になること」

山田裕貴(C)モデルプレス
山田裕貴(C)モデルプレス
年々大きくなるファンの声に感謝を述べながらも、「僕なんてまだまだ」と首を横に振る。

常に挑戦者である姿勢を忘れない彼が見据える先は、どこにあるのだろう?夢は「死ぬときにニュースになる俳優になること」。「だから、最終的に夢が叶ったかどうか、結局分からないんですよね(笑)」と、何だか楽しそうに目を輝かせていた。(modelpress編集部)

山田裕貴(やまだゆうき)プロフィール

1990年9月18日生まれ。愛知県出身。2011年、テレビドラマ「海賊戦隊ゴーカイジャー」(テレビ朝日系)でデビュー。これまでの主な出演作には「HiGH&LOW」シリーズ(2015年~2016年)、映画「ストロボ・エッジ」(2015年)、「ふきげんな過去」(2016年)、ドラマ「死幣-DATH CASH-」(2016年)、「受験のシンデレラ」(2016年)、「青空エール」(8月20日公開)、「闇金ウシジマくんPart3」(9月22日公開)、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(12月17日公開)などがある。

舞台主演「宮本武蔵(完全版)」

作・演出:前田司郎
出演:山田裕貴 矢崎広 遠藤雄弥 金子岳憲 鮎川桃果 大山雄史(五反田団) 山村崇子・内田慈 志賀廣太郎
期間:2016年8月19日(金)~2016年8月29日(月)
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場 シアターイースト

<公演日・開演時間>
8月19日(金) 19:00
8月20日(土) 13:00/18:00
8月21日(日) 13:00
8月22日(月) 19:00
8月23日(火) 14:00
8月24日(水) 14:00/19:00
8月25日(木) 19:00
8月26日(金) 14:00/19:00
8月27日(土) 13:00/18:00
8月28日(日) 13:00/18:00※追加公演
8月29日(月) 13:00

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