綾野剛、3年前に訪れた転機を語る「死ぬこと以外、かすり傷に過ぎない」
2014.11.18 06:00
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俳優の綾野剛(32)が、モデルプレスのインタビューに応じた。映画、ドラマ、CMと各方面から引っ張りだこの彼。それはすでに一過性の人気ではなくなり、“綾野剛ブランド”を確固たるものにしている。なぜ彼はこんなにも世間を虜にするのか…今回のインタビューでは、その理由を探った。
“虐待男”から朝の顔に…活躍の理由は?
2011年放送の連続ドラマ「Mother」(日本テレビ系)で、芦田愛菜を虐待する役を見事に演じきり注目を浴びた綾野は、2012年NHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」でヒロインの尾野真千子と恋に落ちる紳士服職人に抜擢され、知名度を一気に上げた。その後、映画、ドラマ、CMとコンスタントに出演し、2013年「八重の桜」で初の大河ドラマに出演、その頃から主要人物を演じることも多くなり、同年1月期「最高の離婚」(フジテレビ系)、4月期「空飛ぶ広報室」(TBS系)と続き、「東京ドラマアウォード2013」助演男優賞授賞、翌2014年には「第37回日本アカデミー賞 新人俳優賞」「第38回エランドール賞・新人賞」「第22回橋田賞・新人賞」と各賞を総なめにした。このほかにも主演映画「そこのみにて光輝く」が第38回モントリオール世界映画祭にて最優秀監督賞を授賞、同作品が2015年米国アカデミー賞外国語部門の日本代表作品にも選出されている。
出演作は途切れることなく、今年公開の映画だけでも「ルパン三世」(2014年8月30日公開)など4本。来年も主演の「新宿スワン」をはじめ、すでに3本が控えている。
ミステリアスなルックスにオーラ、幅広い役柄を演じることのできる確かな演技力…と活躍の理由もうなずけるが、それだけではないのが“俳優・綾野剛”だった。
綾野剛が現場に好かれるワケ
現在出演中のフジテレビ系連続ドラマ「すべてがFになる」(毎週火曜よる9時)の現場では、食べ物やシャンプー、下着などが常備された本人考案の“綾野商店”が設置されている。キャスト、スタッフが積極的に利用するなど、大好評だというこの商店。綾野は、そういった細やかな配慮こそ作品作りに欠かせない、一種のコミュニケーションツールだという。「コミュニケーションは大事です。人見知りな方もいらっしゃいますし、僕も得意ではないけど、想いを伝える。相手が今何を感じているのか、何を考えているのか、気づく必要性があると思うんです。自分さえ良ければいいという感覚は、捨ててますから」。
こう語るように、現場での綾野はクールなイメージとは裏腹に、積極的なコミュニケーションを好む。「すべてがFになる」の現場でも、W主演を務める武井咲、重要な役どころを演じる早見あかりら共演者との交流を欠かさないようで「共演者とコミュニケーションをとっていることは、結果的に自分のためにもなっている。共演者の芝居が変わったら作品にも影響しますし、新しい感覚や勉強にもなる。コミュニケーションをとることで豊かになるんです」と重要性を説き、「意見の出しやすい環境作りをしないと、作品の為にならない、思ってることが言えない。納得のいっていない映像が一生残るわけです。それは時に役者にとって負担です」と役者論を展開した。
3年前に訪れた転機を語る
さらに綾野は語る。「僕達は今、『すべてがFになる』に関しては最前線にいる。だからこそ、何ができるのかということを年齢を超えて、立場を超えて真摯に向き合っていく必要がある」。
では、そう考えるようになったきっかけは?「単純にコミュニケーションをとらないとダメだなと思っただけですよ。それでも、ここまでできるようになったのは3年前です」。2011年――彼が世間からの注目を浴び始めた頃だ。
「結局、何かを作るってひとりじゃできないことなんです。ひとりで作る分にはアーティストになればいい。でも、僕らはクリエイターです。“1”という台本を50にも100にもしていくのは、僕ら俳優部だけではなく、撮影部、照明部、演出部、録音部、美術部、各部署の色々な人がいて成り立つこと。俳優部も、その中の一部なんです」。
より良い作品を世に送り出すため――それが彼にとってのすべて。「自分のことを信じてもらうためにも、こっちから信頼していますというギフトを贈らなければいけない。そこで、初めて相手から返ってくる。どういう風に自分が見えるかということは重要ではなく、この作品にどう血や肉になるかということが重要です」とクリエイターの顔を覗かせた。
「死ぬこと以外、かすり傷に過ぎない」
「コミュニケーション」ともうひとつ、綾野が大切にしていることがある。それは「人を舐めないということ」。「〇〇だからとか、そういう概念を持たないこと。それさえできていれば、ほとんどのことはクリアになると思います。やっぱり人はどこかで人のことを舐めている状況が生まれることがある。そういう感覚は、僕の中から結構前になくなったので、そこから色んなことがクリアに見えてます」。これは、いわゆるゼロベース思考だ。
ゼロベース思考=固定概念に囚われず物事を考えること、一度考えを白紙に戻すこと。それは、意外にも難しい。しかし、綾野はそれを意図せずやってのける。その秘訣を聞いてみると、「自分がこうだと思ったことや物事がマストやベストになる前にすべて捨てるんです。自分の意志っていうのは、限りなく強いもの。それが諸刃の剣となって本当にダメージになるきっかけを生むんです。こうあるべきという主観を持って発する言葉は武器になるし、ときに鎧にもなる。死ぬこと以外、かすり傷に過ぎないので、重要なのは自分の作った考え方で自分を固定しないこと。それは時に凄く楽なことなんですが、自分の考えを捨てることで周りからの影響を受けられる。若いときって影響なんか受けたくないって思うことだらけだった」。
“綾野剛”という人間が信頼される理由は、ここにあった。「『私はこうなんだ』とか『私はこうだけど』とか、自分の考え方と相手の考え方を天秤にのせて比べてるんです。だから僕はそれを捨てて、相手を尊重してコミュニケーションをとることを大切にしています」。
「映像化不可能」の原作に挑む
綾野が出演する「すべてがFになる」は、天才的頭脳の持ち主の仕組んだ、解の見えない密室殺人と猟奇犯罪方程式に挑むサイエンスミステリードラマ。累計350万部の同名ベストセラー(作者:森博嗣)より、理系ミステリーという新しいジャンルを定着させた「S&Mシリーズ」を初めて映像化。綾野は、工学部建築学科の准教授・犀川創平(さいかわ・そうへい)役、W主演を務める武井はスーパー理系頭脳をもつ“リケジョ”の女子大生・西之園萌絵(にしのその・もえ)を演じる。
18日放送の第5話・25日放送の第6話は、森氏のデビュー作でドラマタイトルにもなっている「すべてがFになる」(1998年12月11日)が題材。天才博士・真賀田四季(早見)が仕掛けた孤島の連続殺人に犀川、西之園が巻き込まれていく。
「映像化不可能」と言われた小説を描くとあって、「撮影は大変です。辻褄を合わせるためには最低2話分は必要です。物語を描いて行く中で、人間がコマになりかねない作品なんです」と振り返った綾野。「犀川たちの会話って日常的なものではなくて、答えに導くためのひとつのワードに過ぎないんです。一語一句間違えられない」と、高いハードルさえも楽しんでいるようだった。(modelpress編集部)
■綾野剛 プロフィール
生年月日:1982年1月26日
出身地:岐阜県
身長:180 cm
血液型:A型
2003年に「仮面ライダー555」で俳優デビュー。2011年放送の「Mother」(日本テレビ系)で注目を集め、2012年NHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」で認知度を上げた。2013年「八重の桜」で初の大河ドラマ出演。同年、「最高の離婚」(2013年、フジテレビ系)で「東京ドラマアウォード2013」助演男優賞を受賞。さらに、2014年には映画「横道世之介」「夏の終り」で「第37回日本アカデミー賞 新人俳優賞」に選ばれたほか、「第38回エランドール賞・新人賞」、「第22回橋田賞・新人賞」を受賞した。主演映画「そこのみにて光輝く」が第38回モントリオール世界映画祭にて最優秀監督賞を授賞、同作品が2015年米国アカデミー賞外国語部門の日本代表作品にも選出されている。
2014年10月より武井咲とのW主演ドラマ「すべてがFになる」がスタート。また、2015年には主演映画「新宿スワン」をはじめ、「S-最後の警官-」「ピース オブ ケイク」の公開が控えている。
【Not Sponsored 記事】
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