石原さとみ、冒頭から感極まり涙「私の夢がかなった作品」“直談判”を一度断られるも吉田恵輔監督と念願のタッグ
石原さとみが、4月16日に都内で開催された映画「ミッシング」の完成披露試写会に登場。共演の中村倫也、青木崇高、森優作、小野花梨、細川岳、脚本・演出を務めた吉田恵輔監督と舞台あいさつを行い、石原が思わず感極まって涙する場面があった。
吉田監督のオリジナル脚本で石原が主演
同作は、“人間描写の鬼”といわれる吉田監督のオリジナル脚本で「自分のキャリアの中で最も覚悟のいる作品」と語る、限りなく哀しく、愛しく、優しい“魂の行方”を描く物語。主演の石原は、愛する娘がある日失踪してしまい、懸命に捜すが、夫婦間の温度差やマスコミの報道、SNSでの誹謗中傷によりいつしか心をなくしてしまう母親・沙織里を演じる。
大勢の観客から拍手で迎えられて登壇するなり、感慨深い表情を浮かべる石原。冒頭でMCから観客へのあいさつを求められると、石原は第一声で「皆さま今日はお集まりいただきっ……」と言葉が詰まり、「(涙が出るのが)早い!」と自ら笑いながらツッコむハプニングが。
気を取り直して石原は「(舞台あいさつに)出る前にこの試写を見てくださったいろんな方から、いろんな言葉をかけていただけて本当に幸せだなと感じます。ただ、1カ月後公開なんです(笑)。ちょっとまだ早いんですけど、私の夢がかなった作品です。こうしていち早く皆さまにお届けできることが心の底からうれしいんですけど、怖い部分もあります。でも、お届けできることが本当にうれしいです。今日は楽しんでください」と、完成を喜びつつも葛藤している思いを素直に吐露しながらあいさつすると、割れんばかりの拍手が送られた。
冒頭から涙するほど今作にかける思いが強い石原。出演に至る経緯を聞かれると「7年前に『今のままじゃいけない』『変わりたい』『自分を壊してほしい』という衝動に駆られまして。私を変えてくれる人は誰だろう?といろんな作品を見ながら、吉田恵輔監督の作品と出会いまして。『この人だったら私を変えてくれる』『絶対に学びがある』と直感して。人づてに『吉田恵輔さんを知りませんか?』といろんな人をたどって、プライベートでお会いさせていただいて直談判しました」と振り返る。
それでも一度は断られたそうで「せめて連絡先だけでも交換させてください、とお願いして(笑)。3年間全く音沙汰なかったんですが、3年後に『脚本を書きました』と連絡を頂いて、飛び跳ねるようにうれしかったです。(自身の)妊娠・出産を待ってくださって、去年の今ごろに撮影をしました。今こうしてお届けできるのが本当に感慨深く、うれしいです」と、“7年越しの夢”がかなった喜びを明かした。
吉田監督、石原の印象は「“港区臭”がすごく強過ぎて…」
そんな石原の直談判を一度断った理由について、吉田監督は「『出たいです』と言われたんですけど、『すみません、苦手です』と(笑)。石原さんの華がすごいんですよ。俺の映画はもっと地味で、下町とか郊外が舞台の映画が多いので、石原さんからは“港区臭”がすごく強過ぎて、『ごめんなさい!』って」と、華があり過ぎて自分の作品には合わないのではないかと思ったからだと説明。
それでも起用を決めたのは「今回の新しい本で、石原さんをちょっとこっちの世界に引きずりこめないかなと、ある種ギャンブルというか。一緒に努力して、たぶんみんなが知っている石原さとみさんじゃないものが映っている自信があります」と“自分のフィールド”に石原を招き、結果成功したと手応えをにじませると、石原も思わず「うれしい!」とほほ笑んでいた。
その後、石原は締めのあいさつでも涙ぐみながら「本当に何年たってもこの作品が転機だと言えます。それぐらい私にとって宝物のような時間ですし、作品です。来月公開ですが、一足早く皆さんにお届けできることがとても緊張しますが、うれしいです。優しい光が必ずあります。どうかそれを受け取っていただけたら、誰かに渡していただけたらうれしいです」と万感の思いを伝えた。
「ミッシング」は5月17日(金)より全国公開。
◆取材・文・撮影=月島勝利(STABLENT LLC)
※吉田恵輔監督の「吉」は、“つちよし”が正式表記
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