『R-1グランプリ2023』王者・田津原理音が語る優勝の秘訣とは?4月から東京で活動も

2024.03.08 07:00
提供:TVerプラス

3月9日(土)18時30分から生放送、及び民放公式テレビ配信サービス「TVer」にて無料ライブ配信される史上最大の“ピン芸日本一決定戦”『明治プロビオヨーグルトR-1presents R-1グランプリ2024』の決勝を目前に控え、『R-1グランプリ2023』王者の田津原理音さんにインタビューを実施!


エントリー資格が変更となり、芸歴制限を撤廃した今大会では、過去最多の5457人がエントリーし、真輝志さん、ルシファー吉岡さん、街裏ぴんくさん、kento fukayaさん、寺田寛明さん、サツマカワRPGさん、吉住さん、トンツカタンお抹茶さん、どくさいスイッチ企画さんの9名が22代目王者の称号と優勝賞金500万円をかけて決勝でバトルを繰り広げます。


今年4月から活動拠点を東京に移す田津原さんは、現在、東京渋谷区にあるMONKEY GALLERYにて、作品展『どんな人生、 ―進―』を開催しています(3月11日まで)。会場には『R-1』のトロフィーや決勝戦で披露したネタに登場する「バトリオンモンスターズカード」、芸人のライブポスター、ネタで使用したフリップなども展示されています。今回その作品展を訪れ、田津原さんに2023年の決勝の様子、優勝後の生活の変化、『R-1』を勝つための秘訣などについて話を聞きました。


『R-1グランプリ2023』優勝後の変化


――『R-1グランプリ2023』で優勝した瞬間はどんなことを考えていたんですか?


久しぶりに聞かれたなぁ……みんなに「泣かんかったよな」と言われたのは憶えているんです。本当に実感がなかったんですよ。『R-1』のためだけに頑張ってきてたので、優勝して、ここからどうなるのか全く想像できなくて。だから「嬉しい」とか、「やったぞ」というのがなくて、ずっと気持ちがフワフワしていて……。


そこから日が経って、優勝を境に芸人生活がまた新しく始まったんやなと思いました。この先どうしようという不安やいろいろな気持ちが一気に襲ってきました。


――『R-1』優勝は田津原さんのキャリアの中でも最大の勲章になったと思います。


そうですね。ネガティブに捉えられるかもしれないんですが、もうここで芸人をやめても、「おっちゃん昔、芸人やっててん」と一生言えるなって。「『R-1』で優勝してん」ということを言えるし、そのくらいの肩書きをもらえたことは素直に嬉しいなと思います。


――優勝が決まった時、周りの反応はどんな感じだったんですか?


“田津原”という苗字は珍しいんですが、和歌山に多い苗字なんです。和歌山にいる僕の親戚が、“田津原が有名になった”ということで、めっちゃ喜んでくれたらしくて。和歌山の親善大使になってほしい、みたいな(笑)。


あと、 僕の甥っ子は僕が行っていた小学校に通っているんですが、その小学校の全校朝礼で「本校出身の田津原理音さんが『R-1グランプリ』で優勝しました」と放送が流れたと教えてくれました。家族に関してもやっぱりすごく喜んでもらえたみたいで、それが一番嬉しかったです。


――賞金500万円の使い道に関して、優勝会見時は、5回に1回しか温まらないからと「電子レンジを買いたい」とおっしゃっていました。


もう東京に引っ越してきているんですが、今、まだ電子レンジがないんですよ(笑)。優勝直後ぐらいに、買い物番組のロケのオファーがあり、番組の中で買った方がテンションも上がるし、(記念のものということで)物も大事にできると思って、その番組で買おうと思って楽しみにしていたら、スケジュールの都合なのか、番組出演がなくなってしまって。もうその番組で買うっていう脳みそになっていたから、他のところで買いたくなくなっちゃって……。


――(笑)。でも電子レンジのない生活は不便じゃないですか?


そうなんですよ。お米をその日のうちに食べきらないといけないというのが一番大変です。お弁当なんかも絶対コンビニで温めてから帰らないといけないですし。


それと、家でよくカフェオレを飲むんですが、冷たいミルクを入れてぬるくなったカフェオレを飲むのはもう嫌なんです(笑)。だから電子レンジが欲しいです。でも、賞金ももうなくなったし、まだ買えていないです……。


――『R-1』2022年王者・お見送り芸人しんいちさんは、トロフィーを持ち歩いていましたが、田津原さんはどうされていましたか?


僕は番組などで見せるために持ち歩くのが面倒くさいので、優勝した時のネタみたいな感じで、カードにして持ち歩いているんですが、あんまり有効的に使えていないです。


でも今回作品展で展示するので、トロフィーを久しぶりに持ち出したんですが、改めて見てもあまりにもでかすぎるなって(笑)。『M-1』くらい小さくしたらリュックに入って便利なのにと思います。『R-1』のトロフィーは鞄には絶対入らないですから。入れるバッグを探すのに一苦労です(笑)。


――優勝した後は、女性からモテるようになるんですか?


優勝したからといってチヤホヤされることは全くないです(笑)。でも、もともと僕はモテる方ではないんですよ。よく言われるのは、「あまり性の匂いを感じられない」って。みんなから、甥っ子みたいな目で見られて、可愛がられることが結構多いです。


それと彼女がいるということを結構いろいろなところで言っているのも影響していると思います。彼女と12年付き合っていて、めっちゃ彼女のことが好きなんです。ずっと彼女とばかりいるから、他の女性と話すとなったら逆に緊張してしまって、気持ち悪いと思われて、空回ってしまうだけなので、他の女性と遊びたいと思わないんです。


『R-1グランプリ』で得られるもの


――このインタビューは決勝の前日公開になるのですが、田津原さんは決勝の前日、どんなことを考えていましたか?


前日はスカイツリーの写真を撮りに行っていました(笑)。毎回東京に来るタイミングが『R-1』の時だけ。僕は写真を撮るのが好きなので、東京タワーやスカイツリーなど、東京に行って有名な建物を撮れるのが嬉しくて。優勝した時、何が嬉しかったって、「これでめっちゃ東京に来れるやん」って。


それと、もう一つ、去年の今頃は『R-1』に対してちょっと悟りを開いてるような状態やったんです。あんまり考えずにいつも通りやろうという気持ちになっていて。決勝前日やけどいつも通りにやろうって。いつも通り写真を撮りに行って、その後でいつも通り決勝に行こうと思っていました。


――“いつも通りやること”が準備だったんですね。


いや、準備とか、それすら考えられなかったです。もう本当に何も考えないで決勝に行きました。僕は、そもそもあまり験担ぎなどを気にしないタイプなんです。芸人を辞めた同期に言われたんですが、その子と、何年か前の準決勝の前日に大阪で遊んでたんですね。で、コンビニに行った時、僕はジャムパンを買ったんです。その同期に「予選の前の日はずっとジャムパン食べてんねん。食べるといい結果が出ることが多いから」と言ったら、「辞めとけ。それは負けるためのフリやで」と言われて。ちょっと考えて「ほんまにそうやん」と思いました。


負けた時に「あんなんせんかったら良かった」とか僕はそう思ってしまうタイプなんです。験担ぎを増やせば増やすほど、負けた時に、「あーそうや、あれやってなかったからや」とか言ってしまう(笑)。結局やっぱり実力というか、実力さえあればひっくり返せる、それがお笑いやと思うんです。もう験担ぎはせんと決めました。言い訳がつかないくらいのネタを作るしかないなって。だから2023年は何も考えずに挑もうって、今までの中で一番何も考えずに本番に挑みました。


――大会中、苦労したことはありましたか?


実は、ネタを仕上げたのがめっちゃ早かったんですよ。大会の前年の6月ぐらいにはもう決勝でやるネタが出来上がっていたんです。そこからライブのたびにネタの微調整をしていたんですが、お客さんがいつも同じネタやってるので、ライブに来なくなってしまって(笑)。


それに加えて優勝前の僕は、本当に、生活の水準としてはもう底辺も底辺なレベルで……。お金がなくてバイトばかりしていたんです。決勝まで、自分の気持ちを保つのが大変でした。しかも僕のネタは結構お金がかかるんです。自腹で、17万ぐらいのモニターを1日だけレンタルしてネタをやるんです。カードを作るのも大変。カメラの機材費もかかるし、そっちの悩みも大きかったです。


――そんな中、自分を奮い立たせたものは何でしたか?


失うものももうないので、無理やったらしょうがないというのはありました。でも結構周りの芸人さんが「絶対いける」といって励ましてくれて、その言葉が自信に繋がりました。


――大会中、印象に残ったライバルはいますか?


みんな、仲が良くて、去年の大会のファイナリスト全員が僕の単独ライブにゲストで来てくれたり、その後打ち上げに全員で行ったり。そこでもみんながそれぞれお互いのネタをめっちゃ褒め合ったりします。


『R-1』の出場者は、それぞれがその道 (ジャンル)の頂点の人。ジャンルが全くかぶっていないので、負けても悔しさを感じるというのはあんまりなくて、ライバルという感情はあまり持っていないです。自分にはできないことをやってる人ばかり。1人で笑かす大変さも知っていますし、それぞれの芸を極めた人たちだから、終わると素直に称えあえます。僕が優勝した時も、終わった後、全員がおめでとうと言ってくれました。


――ぐっときますね……。


先ほど、優勝した時「泣かんかったよな」と言われたという話をしましたが、実は1回泣いたんです。放送が終わって、「ありがとうございました」と後ろを向いたらファイナリスト全員が舞台上にいて、全員がバーッと寄ってきてくれて。そこではじめて「あ、やばい」となりました。


――今回のファイナリストへのアドバイス・エールにもなるような、田津原さんが思う「『R-1グランプリ』で勝利するために重要なこと」は何ですか?


僕も1回しか出ていないので、合っているかどうかはわからないんですが、ネタの中に、“人間らしさ”のようなものを残しておいたほうが良いなと思います。『M-1』では、令和ロマンが寄席っぽい雰囲気、平場に近い感じでやっていて、あれがすごく良かったんじゃないかなと思うんです。完成されたネタを目指すより、人間臭さが少し出ているような。


僕が決勝でやったのはコントなんですが、お客さんに喋りかけているんです。「半分コント」「半分漫談」のような、人間の部分を残すように作りました。綺麗なネタにしすぎず、少し隙を作らないといけないなと。お客さんがツッコみたくなるようなことをやらないといけないと自分の場合は思います。それがめっちゃ大事なポイントなんやろうなって。


“王道な芸能活動”をやりたい理由


――田津原さんの才能を楽しむことができる作品展『どんな人生、 ―進―』についても教えてください。


大阪で6月にも同じタイトルで開催させてもらって、その時は「芸人としての僕」がメインで、フリップやカード、『R-1』トロフィーに加えて僕の衣装なんかも展示しました。


今回は風景写真なども展示して、“写真家・田津原”の色が強く出ていると思います。もっといろいろな人に「こういうことをやっていますよ」というのを見てもらいたくて、写真をたくさん展示しました。入口から入ると、風景写真、僕が作った単独ライブのポスター、芸人のオフショット、フリップカード、それで最後は『R-1』トロフィー。グラデーションのように、写真家から芸人になっていく様が見れると思います。僕がこんなことをやってる人だというのが3分も歩ければわかる構造になっています。


代官山でやるというのもかっこいいなと思って、ここを選びました。服も好きなので、将来は服の仕事もしたいですね。おしゃれな人とももっと繋がりたいです。


――今後東京を拠点にされますが、どんな活動をしていこうと考えていますか?


仕事の幅を増やしたいです。ネタはもちろんずっとやっていくんですが、それ以外にも写真の仕事や、アートやクリエイティブなこともできるというのを見せていきたいです。俳優業なども、できることならばやってみたいなと思います。せっかく東京に来たので、いろいろな業種の方と関係が持てれば嬉しいですし、みんなが憧れる王道な芸能活動を歩んでみたいです。


――今回の展示では、いろいろな種類のクリエイティブな作品が展示されています。多才な部分がもっと生かされると良いですね。


今回この展示をやってみて、代官山にも初めて来たんですが、すごく楽しくて。お笑いの全国ツアーをいろいろなところでやるんですが、その時に、作品展も一緒に開催できたら良いなと思いました。


その土地土地で、写真を撮りに行きたい気持ちもあるので、全国ツアーでライブと作品展を一緒にやるのも面白いかもしれないですね。めっちゃ大変だと思うんですが、それができたら自分のやりたいことを同時進行できるなって。


テレビにももっと出たいです。ライブだけ、写真だけ、知る人ぞ知る人にはなりたくなくて。先ほど王道をやりたいと言ったのは、いろいろなことを経験してから自分でやりたいことを選びたいという思いがあるからです。


「何がしたいの」と聞かれても今は何をとは言えないんです。自分に何できて、何が合っていて、何が合っていないのか全く分からないので、自分探しの旅を続けています。挑戦せずにモヤモヤしたくない。だから一度全部経験してみたい気持ちがあります。


――多才がゆえの悩みも多そうですね。


本当にそうです。やりたいことと得意なことが合っていないんです(笑)。セルフプロデュースの能力もないので……。それも今後の課題ですね。


――カードやフリップを使ってのネタなどを見ていると、子供向けの情報バラエティなどの出演も活路が広がりそうな気もします。


子供にカードネタがめっちゃウケるので、得意かもしれないです。以前『テレどーも!』に出させてもらってそこで「桃太郎」のフリップ芸をやったんですが、子供にすごく喜んでもらえて。その後、『バリバラ』という障害者の方のバラエティにも出演して、フリップを書いたりしていましたが、それもめちゃくちゃ楽しかったですね。


――芸人活動、テレビ出演、それ以外の活動に関しても楽しみにしています。ありがとうございました!


取材・文・撮影:名鹿祥史

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