バチハマりなラウールのホストが魅せる! 真逆の世界に生きる2人が抱えるそれぞれの地獄【愛の、がっこう#1】

バチハマりなラウールのホストが魅せる! 真逆の世界に生きる2人が抱えるそれぞれの地獄【愛の、がっこう#1】

2025.07.17 17:10

※このコラムは『愛の、がっこう』1話までのネタバレを含んでいます。

■カズレーザー以外で初めて『全身赤でかっこいい』を証明してくれたラウールのホスト役

ラウールのホスト役がとにかくどハマりしている新ドラマ「愛の、がっこう」。上下ALL赤い服でこんなにバチバチに決まる人、カズレーザー以外に地球に存在したのか!? と、我ら人類に新たな気づきと目の保養をくれました。それぞれが抱える地獄が少しずつ垣間見える『愛の、がっこう』を、毎週考察していきたいと思います。

小川愛実(木村文乃)はある日自殺を図ります。しかし、それは失敗に終わり、今は心ここにあらずな様子で、まるで残った人生をただ惰性で生きているよう。

勤めている女子校は厳格で裕福な家庭の子女が通う校風で、担任を持ってはいるものの、生徒には舐められ、クラスでの立場はあまり良くない様子です。

裕福な家庭に育ち、まじめ一辺倒で育った愛実。35歳の今もなお実家に住み、部屋にはぬいぐるみが溢れているなど、子どものころから変わっていなそうな様子の部屋に、どこかまだ心が大人になり切れていないようなアンバランスさを感じます。

そんな中、ある日生徒の1人が歌舞伎町のホストクラブで年齢を誤魔化し、親のキャッシュカードを使って100万円も使い、通い詰めているという事件が発覚します。

■育ってきた環境が正反対の2人

娘がホストに通っているなんて、イチ家庭問題でしかないし、親が連れ戻しにいけよ、という感じなのですが、なぜか愛実と副担任が連れ戻しに行かされることに。慣れない歌舞伎町に乗り込むと、生徒の夏希(早坂美海)の姿がそこに。その相手がラウール演じるホスト・カヲルです。

夏希を連れて帰ろうとした時の、やり取りがとても印象的でした。「家を出て生きていけると思っているの?」と説得する愛実と、「親元なんて出たって全然1人で生きていけるよって励ますのが先生なんじゃないの?」と返すカヲル。裕福な家庭で過保護なほど親に守られ、親の言うがままに教師になり、今もなお実家で暮らしている愛実と、小学校にもろくに通えず、親にも守られず、おそらくいろんな苦労を背負いながら1人で生きてきたカヲル。

夏希の未来を心配する言葉に、それぞれの人生が投影されているよう、とも言えますし、自分の生き方しか知らないからそうとしか言えない、というふうにも見えて、一瞬ですが面白いやり取りでした。

■カヲルがはぐらかし続けた理由は文字が書けないこと

今度は夏希の母親から、「ホストから一切の連絡をしないという念書を書かせろ」という無茶振りが入ります。念書を取るのは担任の仕事ではないですし、法的にきちんと効力を持った念書を作るのであれば弁護士を挟むべき。裕福で社会的にも立場もありそうな母親なのに、このおかしな判断にモンペっぽさを感じます。

念書を取るべく、愛実はカヲルに電話をするものの、ホストクラブに来いと言われ、いざ行けば「酒を飲みながらでは書けない」とはぐらかされ、たまらずアポなしでホストクラブへ突撃。人目を避けるように自宅屋上に連れて行かれるのですが、そこで分かったのはカヲルは字が読めない、書けないと言うこと。後輩ホストに「ビジュいいからSNS営業すればいいのに」と言われてはぐらかしたのも、ホストの店内では絶対に念書を書こうとしなかったのも、全てはそれが理由だったのです。

どんな事情があって、小学校にもほぼ通えなかったのかはまだ謎ですが、ひらがな、カタカナくらいはギリいけそうなので、源氏名が漢字ではなくカタカナの「カヲル」なのもそれが理由かもしれません。

■お互いの足りなかった部分を、無意識に補っていた一瞬のやり取り

カヲルに念書を書かせるため、愛実は字を教えます。「ちゃんと名前は書けたほうがいいです。あなたのこれからのためにも」と、愛実はお手本を書きます。一方で、カヲルは「これから」という言葉に反応します。その日生きるのが精一杯だったカヲルにとって、未来のことを少しでも考えてくれる人なんて、もしかしたら初めてだったのかもしれません。

何度も何度も書き直し、やっと完成した念書。「初めて来た時、絆創膏してたよね。教師って命懸けだよな」とカヲルは愛実のおでこにキスをし、「さよなら。小川愛実先生」と告げます。

愛実の恋人の川原は心配してもくれなかったおでこの傷を、覚えていてくれた上に労ってくれたカヲル。本当は川原から欲しかった言葉をくれたのはカヲルでした。

気づけば、文字の汚さを批判した学校の先生たちの前で、愛実はカヲルを庇っていました。誰も授業をまともに聞いてくれなかった愛実にとって、教える楽しさを教えてくれたカヲルと、カヲルにとって初めて未来を心配してくれた愛実。何だか歪な2人の関係が、ここから少しずつ始まっていくのでしょうか。

■ノンデリVSノンデリ。その根底に潜む親の理想

親同士の紹介でお見合いのような形で知り合った愛実と川原。しかし、川原はなんだかデリカシーにかける男です。愛実を褒める表現として「未公開の割安株を見つけた気分です」と言ってみたり、「親同士の紹介で出会ったのはお互い相手を見つけられず親に泣きついたみたいだから、内緒にしよう」と言ったり、他に言い方があるはずなのに、いちいちノンデリ。

おまけに不倫までしているようで、会社での体裁と出世のためだけに結婚している肩書が欲しいようです。出世考えるなら、まずそのノンデリ直さないと無理だろ。

一方で愛実も不器用というか、言わなくていいことをいちいち言ってしまいます。婚約者に振られて、ストーカーになり、通報されて会社を辞めることになった上に自殺未遂をしたことを暴露したり、川原と結婚しようとしているのは「タイプど真ん中じゃないから夢中にならずに済みそうだから」と、こちらも負けじとノンデリ。結婚の目的はどっちもどっちなのですが、愛実がこうなってしまったのは、親の影響も大きそうです。

結婚も愛実は特にしたいとは思っておらず、親が安心したいがために相手をあてがってきただけ。父に「ホストクラブに行ってきたの」と言えば、「お前らしくない冗談だな」と流され、話を聞こうともしてくれません。今までもきっと、理想の娘に当てはまらないことはスルーされ、表面の綺麗なところしか見ようとしてくれなかったのでしょう。

そのせいで、愛実は本当の自分を全て知った上で、求めてくれる人が欲しいとどこかで思っていて、こんなふうに言わなくていいことも全て包み隠さず言ってしまうのかもしれません。

■上級国民と底辺。真逆の環境でもそれぞれが抱える地獄

カヲルは実の母・奈央(りょう)から定期的に金の無心をされているのか、大金を投げ捨てるように渡していました。

奈央には、カヲルにとっての弟にあたる、幼い子どもがいるようで、「私の宝」と溺愛している様子。

「同じ息子でも俺はあんたのゴミだったからな」とカヲルが吐き捨てたように、その育て方は、小学校にもろくに通えなかったカヲルとは雲泥の差のようです。同じ子どもでも何がここまで状況を変えたのか。カヲルがここまでどうやって生きてきたのか、その過去も気になるところです。

カヲルが言っていたように、上級国民の家に生まれた愛実と、学校もまともに通えない劣悪な環境で生きてきたカヲル。生きてきた世界は全く違えど、登場人物一人ひとりに心の闇や問題が潜んでいます。

おそらく交わることがなかった2人の人生が、これからどのように絡み合っていくのか、そして愛実をホストクラブの客に取り込もうとし出したカヲルですが、愛実との関係がどのように変わっていくのか。繊細な心の動きがたくさん見れそうで楽しみです。また次回。

(やまとなでし子)

※『愛の、がっこう』はTver、FODにて配信中

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