
スターダムの姫ゆりあ(26)が新人らしい必死さ、そして芸能経験に基づくしたたかさを前面に押し出し、懸命なファイトを展開している。「世界に出て挑戦できるようなチャンスをつかみたい」と、情熱を燃やしている。
23年夏にスターダムの新人オーディションに合格。今年1月に舞華を相手にデビューを果たした。
栃木県宇都宮市出身の姫は、高校卒業後にモデルを目指した。その過程で漫画誌のミスコンテストに応募したことをきっかけに、グラビア活動を開始。同じ頃にドラゴンゲートに夢中となり、プロレス愛を深めた。
中学時代に陸上を経験し、高校はサッカー部のマネジャー、プロレス愛に目覚めた頃にはキックボクシングに挑戦した。グラビアと並行してアイドル活動に取り組んだ時期もあった。
スターダム新人オーディションの合格時は24歳。「プロレスに一回は挑戦したかった。25歳までは好きに生きると両親に伝えていて、24歳の夏を逃したらもうプロレスはできないと思いました」。人生を懸けた一大決心だった。
デビューに向けた練習は、厳しい軍隊式を想像していたが違った。「自分のことを気にも懸けてもらえないと思っていたら、イチから丁寧に教えてもらいありがたかった。自由時間も結構ありました」と振り返った。
デビュー戦の相手、舞華に対しては「相手の攻撃を全部受けて勝つ。そのパワーは本当にすごい」と尊敬の念を持つ。もう一人の憧れは白川未奈だ。グラビアアイドルからプロレスラーに転身し、今春にスターダムから米AEWへの移籍が決まった。
「初めて白川さんを見た時、こんなかわいい人がプロレスラーにいるんだ、と驚きました。そして、自分と同じ仕事をしていたことに、親近感を持ちました」
舞華と白川のタッグとは、3.29ところざわ大会で梨杏と組み対戦。姫はリング上で世界進出の夢を口にした。青学大出身で英語が堪能な白川に触発され「英語の勉強を始めました。外国人の友達に教えてもらったり、英語の本を読んでいます」と話す。「ピーターパン」の英語版書籍などを用いて努力しているという。
グラビア活動にはやりがいを感じていた。「いずれはプロレスと両方できれば」と思い描く。プロレスでは丸め込みに一部オリジナルの動きを加えている。ドロップキックは、女子はひねりながらうつぶせに着地する形が主流の中、背中から大きく受け身を取る背面式を選択する。「自己主張しないと生き残れない世界にいたので、常に人とは違う差別化を考えています」と話した。
現在は新人らしい初々しさを目立たせているが、グラビア経験を他のレスラーに対する個性だと前向きに捉えている。「いつか堂々とセクシーさを落とし込んで、『姫ゆりあ』に似合うエレガントなレスラーになりたいです」と誓っていた。