千代翔馬 豊昇龍を寄り切り初金星 33歳7カ月、歴代2位の年長記録 年長初三賞、新三役への期待も

 豊昇龍(右)を寄り切りで破る千代翔馬(撮影・西田忠信)

 「大相撲春場所・5日目」(13日、エディオンアリーナ大阪)

 平幕の千代翔馬が新横綱豊昇龍を寄り切り、年6場所制となった1958年以降初土俵で2番目の年長記録の33歳7カ月21日で初金星を獲得した。豊昇龍は昇進後初めて金星を配給し、2敗となった。大関陣は大の里が翔猿を押し出して4勝1敗、かど番の琴桜は隆の勝に押し出されて2勝3敗と黒星が先行した。全勝だった遠藤と阿武剋がともに敗れ、5日目にして勝ちっ放しが不在となり、1敗は大の里、高安、伯桜鵬、遠藤、阿武剋、獅司、美ノ海の7人。

 どよめく館内に座布団が舞う。24本の懸賞を手にした千代翔馬は感激の面持ちだった。歴代2位の年長初金星を達成。「懸賞よりも金星よりも結びで勝つのがうれしい」と感慨を口にした。

 立ち合いで右に変化。朝の稽古場で決めた。上手を取り、体勢を立て直させず一気に寄り切った。「負けたら何年も変化したと言われるかもしれない。それでも勝ちたかった」。覚悟を示した。

 今場所の西前頭2枚目が自己最高位。幕内在位39場所、十両16場所。幕下陥落の危機を必死でしのいできた。モンゴル時代、7歳の豊昇龍を知る。「弟と一緒に柔道をしていた。(横綱が)入門した時、僕はもう幕内だったからね」。先輩の意地があった。

 腰痛に苦しみ、昨年12月まで4度の手術を経験。「負けたらケガのせいにして逃げていた。辞めたい気持ちもあったが続けて良かった」。先代九重親方(元横綱千代の富士)への感謝とともに、現九重親方(元大関千代大海)に懸賞を渡し、恩返しすることを明かした。

 年長初三賞、新三役への期待も膨らむ。千代翔馬は「一日一番。まだ10日あるから」と気を引き締めた。

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