パルグループHD 人材難対策に“やりがい”重視 店舗大型化は商品の充実とともに
人に思い切って任せるのがパル流――パルグループホールディングス(HD)は24年2月期の決算発表の場で、業界の課題となっている人材難について、やりがいの創出を重視していることを強調した。社内で目標として掲げる店の大型化については、商品の充実と両立することに手応えが出ており、より多くのブランドで達成を目指していく。
毎年約300人を新卒採用している同社は、良い人材を採用するため、23年度に続き、24年度もベースアップを実施。24年度は初任給も引き上げた。「ECが成長し続けていることから、最近はECで活躍することを目指す志望者も目立っている」(小路順一パル社長)。
人材の育成と定着については、「ファッション業界はもともと離職率が低くはない」が、権限の委譲に加え、SNSでインフルエンサーとして結果を出せばインセンティブ(報奨)を用意するなど、「パルの文化としてやりがいを持ってもらうことを増やしている」。「任される=信頼されるということ。自分もその中で成長してきたし、これからも絶やさない」と述べた。
店舗の大型化は、好調なECを活用してコンテンツ開発がしやすくなり、それを実店舗にも投入する事例が増えている。前期で売上高192億7700万円(前の期比25.4%増)となった自社ECの中で、実験的にブランド・イン・ブランドを立ち上げ、検証がしやすくなった。
ある程度育てば、大型店の方も新たな魅力として加えるという形をとり、例えば「チャオパニックティピー」は大型店が好調に推移し、15.2%増収した。
売上高が630億6400万円(28.8%増)だった「スリーコインズ」は、新規出店だけでなく、既存店の移転を含む増床リニューアルにも注力した。20人以上いる企画スタッフが2週間ごとに打ち出す新鮮な商品を欠かさない一方で、人気のキッチン周りのアイテムも充実させるなど、「商品の魅力で勝負できている」(松尾勇パルグループHD代表取締役会長兼パル代表取締役会長)ことから、大型化を効果的に進められた。
「スリーコインズ以外のブランドもこれからもっと大型化を進めないと」とし、引き続き取り組みに注力する。
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