メーカーズシャツ鎌倉、25年までに国内固め海外へ 中計初年度は最高益を達成
メーカーズシャツ鎌倉(神奈川県鎌倉市、貞末奈名子社長)は23年12月期の営業利益が過去最高になった。25年度を最終年度とする中期3カ年経営計画の初年度で、出店による売り上げ増と従業員の待遇改善が実を結んだ。過剰在庫を整理し、白いシャツなど定番品の欠品を防ぐ仕組み作りも利いた。残り2年で国内でしっかり稼げる態勢を整えるとともに、海外市場に本格参入するための準備も進める。年央には再度、米・ニューヨーク市に法人を開設する予定だ。
23年12月期の売上高は55億1000万円で営業利益は2億5500万円だった(前年度は決算期変更のため変則決算)。期中には東京・八重洲と仙台、札幌に出店した。
中計でも掲げたが、人手不足のなか、従業員が働きやすい環境整備に力を入れたのが好結果の一番の要因とみる。販売員を含め約260人の従業員のほとんどが社員であるため、本部と店頭の待遇差をなくした。
昨年から初任給を上げ、若年層の給与も調整して上げた。さらに改善し「全体でも業界最高水準を目指したい」(貞末社長)という。
今期は3月に京都に出店、4月には新潟に出す。海外は上海に1店あり、近く本社から責任者を派遣する。「デフレ下に創業し成功した。経済停滞下の今の中国は好機」とみてアクセルを踏む。25年度には9億円近い売上高を見込む。
ニューヨークはコロナ下に店舗を閉鎖してからも、現地スタッフ1人がパターンオーダーの受注会を月に数回開いている。在庫も店舗もなく年間約5000万円売っており、本腰を入れれば「成功するイメージしかない」。今年中には販売サロンを兼ねるオフィスも現地で契約するつもりだ。
会社を輝かせ、地元も大切に
貞末社長の話 中計1年目は赤字からのV字回復必達を掲げて社内に発破をかけた。30年目にして初めての中期経営計画だったが、やってみると経営も現場もやりやすい。目標を共有し、毎週数字を追いかけて不具合が生じた時には手を打てばいいのだから。中計には数値目標もあるが、骨子は社員やお客さんや取引先をキラキラと輝かせられる会社にするということ。鎌倉という名前を借りて商売させてもらっているから地元も大切にしたい。世界のブランドも地域と密接に結びついている。そのことでオンリーワンのブランド価値を出せるはずだから積極的に関わっている。
(永松浩介)
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