

年間700杯以上・ラーメン官僚が語る油そば、まぜそばの進化「スープという制約がない」
日本全国のラーメン店の発掘と紹介をライフワークとし、年間700杯以上のラーメンを食べ続け、生涯実食杯数は21,000杯超という日本屈指のラーメンフリーク、通称「ラーメン官僚」こと、かずあっきぃ氏がラーメンについて語り尽くす短期連載。第6シーズンでは「油そば、まぜそばの歴史」について2回にわけて語ります。(前後編の後編)
私が、都内を中心にラーメンの食べ歩きを始めたのは、環七ラーメンブームが全盛期を迎えていた1990年代中盤のこと。当時よく食べていた「汁なし」は、高田馬場駅前のビルの地下1階にあった『らーめん専門店ぶぶか高田馬場店(現在は閉店)』の「油そば」でした。というのも当時、私は新井薬師に住んでおり、環七沿いを含め、自宅周辺のラーメン店をローテーションで巡っていたのです。
まだ今のように実力店と呼ばれる店が少なかった時代。つけ麺なら東池袋の『東池袋大勝軒』、油そばなら高田馬場の『ぶぶか』。これが、当時の私の定番ルートでした。満足度の高い1杯を提供する店が、今よりもはるかに少なかったのです。
今では、「醤油」「塩」「つけ麺」「汁なし」の4種類のラーメンを自在に作り分ける店も、珍しくなくなりました。「汁なし」を提供する店舗が急増したのは、「汁なし」が持つ圧倒的な自由度と独創性のたまものです。スープに縛られず、油、タレ、トッピング等に工夫を凝らすことで、ラーメンの魅力をバリエーション豊かに表現できる。その柔軟性こそが、「汁なし」というジャンルの裾野を一気に広げた最大の要因だと思います。
実際に今、油そばがどれだけ多様化・大衆化しているのか。具体的な店舗を挙げながら、ご紹介します。
例えば、千葉県・京成大久保の実力店『房総式ラーメンJINRIKISEN』。名物商品である「黒毛和牛の牛脂そば」は、まるで「和風ステーキまぜそば」とでも呼びたくなるような一品です。熱々のフライパンに乗せられた状態で提供され、和牛そぼろや牛脂の香味、山葵の清涼感などが織りなすひと皿は、まさに鉄板焼きの舞台がそのまま麺に映し出されたかのような趣。麺を啜り終えた後、残ったソースにご飯を投入し、締めの「ガーリックライス」として味わえる構成は、もはやコース料理さながら。「汁なし」という分野のポテンシャルの高さを、まざまざと見せつけてくれます。
東京・旗の台に店舗を構える『煮干しNoodles Nibo Nibo Cino』も、汁なし麺の可能性を大きく広げた1軒です。屋号が示すとおり、煮干しの風味を主軸に据えながら、ペペロンチーノ、カルボナーラ、ジェノベーゼ等のパスタの要素を巧みに融合させた「汁なし」を提供しています。イタリアンのエッセンスをも自在に採り込むことができる。そんな自由度の高さこそが、「汁なし」の懐の深さを物語っているのかもしれません。
茨城県・つくば市の『芛堂寺(いどうじ)』も、注目に値する存在です。同店の看板メニューは鶏白湯ラーメンですが、オプションとしてオーダーできる「和え玉」として、「煮干し油」「あん肝ソース」「海老とトマトバジル」などを用意。「汁なし」としてそのまま戴いても、十分満足に値する内容となっています。この「和え玉」が話題となり、同店は、人気店としての地位を不動のものとしました。
このように、「汁なし」は、スープという「楔(くさび)」から解き放たれたことで、和・洋・中の垣根を超えた表現が可能になりました。スープに頼ることなく、油、タレ、トッピングの掛け合わせで、さまざまな味わいを柔軟に表現できる。この「自由度の高さ」こそが、「汁なし」が、ラーメン、つけ麺に続く「第三のラーメン」として確固たる地位を築き得た理由のひとつだと考えています。
また、もうひとつ見逃せない要素が「麺」の進化です。近年におけるつけ麺ブームの勃興により、自家製麺、製麺所への特注麺が一般化したことで、今では、どの店も非常にハイレベルな麺を提供できるようになっています。スープがないため、麺が主役となる「汁なし」においては、麺の完成度の高さこそが、クオリティを左右する決め手となります。麺の完成度が向上したことにより、以前は限られた店でしか味わえなかった「汁なし」が、今では「醤油」「塩」「つけ麺」と並び、多くの店舗でレギュラー商品として提供されるようになりました。
自家製麺の研ぎ澄まされた潜在能力を最大限に引き出すため、トッピングの種類を絞り込み、シンプルに振り切る店も増えています。
例えば、埼玉・北浦和の実力店『らーめんかねかつ』が提供する「あぶらそば」は、タレと油だけで構成された極めてシンプルな「汁なし」です。まずは、麺自体の風味や食感をじっくりと噛み締め、中盤以降、別皿に添えられたトッピング(燻製ササミ、ネギ、糸唐辛子、卵黄トリュフソース)で、味をアレンジしながら食べ進めるスタイルとなっています。
また、東京・成増の名店『中華そば べんてん』の「塩油そば」は、提供された丼を見れば「素ラーメン」にしか見えないビジュアルですが、混ぜれば、麺の下に仕込まれたメンマ、刻みチャーシュー等のトッピングが突如として姿を現す、遊び心満載の仕掛けが印象的。麺量が並外れて多く、店内で打つ極上自家製麺を味わい尽くすことができる逸品です。
このように「油そば」や「まぜそば」とひと口に言っても、バリエーションは実に多彩で、「汁なし」はめざましい進化を遂げているジャンルと言えるでしょう。
最後に、『芛堂寺』のところで述べた「和え玉」について、もう少し言及しておきます。
「和え玉」は、「替え玉」をアレンジしたもので、通常は味付けを施さない素の麺をスープに投入して食べる「替え玉」とは異なり、あらかじめタレや油、具材で味付けされています。そのため、スープと一緒に楽しむ食べ方はもちろん、「和え玉」だけでも上質な「汁なし」として味わうことができる仕様になっています。最大の魅力は、1杯でラーメンに近い満足感が得られる上に、価格が通常の「汁なし」よりはるかにリーズナブルな点です。
「油そば」「まぜそば」そして「和え玉」。これらの「汁なし」カテゴリーが独創的な世界を編み上げた背景には、スープという制約がないことがあります。多様な味覚世界を自在に描けることが多様な遊び心を生み出し、豊かなバリエーションを実現しているのです。
構成/大泉りか
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