「レジェン堂」

プロ初登板で王貞治・長嶋茂雄を相手に完投勝利 沢村賞にも輝いた権藤博が語る昭和のプロ野球<プロ野球 レジェン堂>

2025.05.13 12:00
「レジェン堂」

5月6日に放送された「プロ野球 レジェン堂」(毎週火曜夜10:00-10:55、BSフジ)。今回のゲストはプロ入り1年目に35勝をマークし最優秀防御率と沢村賞、新人王も獲得したレジェンド・権藤博が登場。MCの徳光和夫、遠藤玲子とともに、現在とは全く異なる現役時代のエピソードや名選手との秘話を披露した。

幼少期は終戦直後…手作りのボールから始まった野球人生

権藤は1938年生まれの86歳。幼少期は戦争で物資が乏しかったこともあり、石に毛糸を巻いた手作りのボールで野球をしていたという。本格的に野球を始めたのは中学からだが、身長が低かったこともあってポジションは内野手だったそうだ。しかし高校に入ると3年間で15cmも身長が伸び、球も速かったことから2年生のときに投手に転向する。

当然のことながら甲子園への出場を目指していたというが、当時甲子園へ出場できるのは佐賀・長崎・熊本の3県から1校のみ。権藤が在籍していた鳥栖高校は佐賀県大会の準決勝で佐賀商業に敗れ、惜しくも甲子園出場の夢を果たすことはできなかった。だが権藤の投球を見ていた当時の西鉄ライオンズ(当時)・三原監督から宿舎に呼ばれ、監督の前でピッチングを披露する機会があった。

三原監督は権藤の才能を見出して2軍の練習所にも招くのだが、そのとき社会人野球の名門であるブリジストンからも勧誘がやってきた。当時177cmと高身長でありながら体重は60kg台前半しかなく、プロ野球で通用するかというと不安だった権藤。熟慮の末、西鉄からの誘いは断ってブリジストンへの入社を決める。

1年目から最多勝を飾るも…プロ入り後の洗礼に衝撃

ブリジストンへの入社後は、後にスターとなるさまざまな選手と対戦する機会があったそうだ。中でも読売ジャイアンツへ入団した堀本律雄の投球を見たとき、権藤は「すごい球を投げてるな」と衝撃を受けたという。だが実際に堀本の球を間近で見ていた同僚からは「確かにすごい球投げるけど、ゴンのほうが速いぜ」という言葉をかけられ、自信につながったと振り返った。

またこの当時、権藤にとって憧れの存在だったのが1歳年上で西鉄に入団した稲尾和久。毎日のように稲尾の投球フォームを真似したことで球速はさらにアップし、多くの打者を抑えられるようになったという。

社会人野球で実績を積み上げた権藤は、やがてプロ野球のスカウトからも注目される存在となる。中日ドラゴンズと巨人から声がかかり、巨人からは他球団よりも高い年俸を約束するという打診もあった。しかし権藤は先に声をかけてくれた恩から「はいわかりました、といって巨人に行くわけにはいかない」と考え、中日への入団を決めた。

プロとしての初登板は1961年4月の巨人戦で、王貞治・長嶋茂雄を擁する重量打線を1点に抑えて完投勝利を飾った権藤。当時の王はおなじみの一本足打法を確立する前であったため、「二本足でかわいいところがあった」と権藤は振り返る。しかし長嶋には痛烈な二塁打を打たれてしまい、「これが天下の長嶋か」と大きな衝撃を受ける。思わずマウンド上で見とれてしまうほどだったというエピソードは、さすがミスターというべきか。

1960年代には「権藤、権藤、雨、権藤」というフレーズが流行したが、特に梅雨時は雨天と移動日以外の先発はすべて権藤という月もあったようだ。権藤が活躍していた1960年代のプロ野球は現在のように中5日または中6日というローテーションではなく、中数日あるいは2日続けての登板というケースも珍しくなかった。今では考えられないことだが、このようなエピソードからもプロ野球の歴史を垣間見ることができる。

球種が変わっても球の握りは同じ…権藤が語る投球術

権藤はプロ入り1年目に35勝、2年目も30勝をマークし2年連続の最多勝に輝いた。MCの徳光からピッチングの秘密を聞かれると、権藤は独特の投球術を明かす。

通常、多くの投手はストレートと変化球で球の握りを変える。しかし権藤の場合は球種に関係なく球の握りは一緒で、ボールの縫い目もあえて気にせず投げていたという。これによって「同じ球種でも球が不規則に変化し、打者にとっては打ちづらい球になる」のだ。

戦後の復興とともに昭和のプロ野球界を支えたレジェンド・権藤博。番組の後半では監督・コーチとしてどのように選手を育成し日本一を成し遂げたのか、指導者としての哲学も披露された。日本プロ野球の長い歴史を振り返り、レジェンドたちがどのような野球人生を歩んできたのかを知る貴重な番組として、「プロ野球 レジェン堂」には今後も大いに注目していきたい。

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