ジンオウガ装備。衣装・武器ともに七星めろんさん(@nanasemeron)の自作

コスプレ日本代表"造形レイヤー"七星めろん「中学生の頃にいじめ、高校時代の出会いで殻を破れた」

2024.05.12 07:03
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造形のクオリティがさまざまなイベントで評価され、コスプレの祭典「世界コスプレサミット2022」(※コスサミ)の日本代表に抜擢された七星めろんさん。衣装や武器まで自身で作る“造形レイヤー”として活躍している七星さんは、対面インタビューに応じるのは初めてだという。国内にとどまることなく海外のコスプレイベントにもゲストとして呼ばれるようになったキッカケや、コスプレとの出会い、造形レイヤーとしての原点を訊いてみた。(前編後編の前編)

――学生時代を振り返ってみて、どんな子供でしたか?

七星めろんさん 小学生の頃はすごい目立ちたがり屋で、でしゃばりでした(笑)。学級委員とかもめちゃくちゃやりたがる子で、根本は真面目なんですよね。授業中も積極的に手を挙げていましたし、学校も休まなかったです。1日でも自分が授業を聞けなくて、他の人が聞いているっていう状況が負けだと思っていました。置いていかれていることがすごいストレスで、不安というのもあって真面目に過ごしていましたね。

――真面目な女の子だったんですね。

七星めろんさん 田舎の山の中で育ったんですけど、中学校も人が少ないんですよ。なので幼稚園から中学校まではエスカレータ式で上がったのですが、中学に入って早々にいじめられたんです。靴下にワンポイントが入ってるとか、みんなが持ってるリュックとは別で私だけがスクールバック持っているとか。

元々地毛がちょっと茶髪っていう本当にちっちゃいことで先輩から嫌われ、同級生は先輩に嫌われないように私から距離を置くみたいな軽いいじめでした。それもあって目立ちたがり屋な性格が一気に「目立ちたくない」になったんです。

――今の活動からは、目立ちたくない人だとは想像できませんね。

七星めろんさん 当時、実はタレント志望だったんです。事務所に応募するとかはなかったけど、タレントとか芸能界の仕事をしてみたいというのが心の中にあった。でも出しゃばれない環境だから、静かに授業を受けていました。中学が一緒だった子が今私の活動見たらびっくりすると思う。――殻を破るキッカケは?

七星めろんさん 高校に入ってからギャル雑誌の『Popteen』にハマったんですけど、そこにギャルモデルの椎名ひかりちゃん、通称ぴかりんという子が雑誌で唯一コスプレをしていたんです。かわいい服だけじゃなくて奇抜な服も着ていて、ゴシック系、ゴスロリ系、ツインテールとかもしてたし、アニメ風なメイク、コスプレ企画もその子だけ。もうぴかりんの世界ができていたんですよね。

その子に憧れてたっていうのもあって、私の軸も決まっていった感じです。ぴかりんに影響を受けてファッションも化粧も学んでいましたし、いろんなアニメも観始めて「多分私はコスプレはしないだろうけど、ぴかりんのコスプレかわいいな」って見てた自分が、いつの間にかコスプレをする側になっていました(笑)。

――軸がなんとなく決まったとのことですが、卒業後はどんな道に?

七星めろんさん デザイン系の専門学校に進学しました。そこは特殊な学科で、いろんな授業を選べるんです。例えば、イラストレーター、Photoshop、インデザインとかパソコンの授業、シルバーアクセとか彫金、衣装を作る授業、漫画、声優、カメラ、音響に映画。とにかくいろんな学科が選べる独特な学科で、担任の先生が学園長っていう(笑)。

本当にいろんなものをかじっていました。そうすると何かに特化するというより、いろんなことができるようになっていたんです。専門学校を卒業した後は、あんまり専門学校の知識って活きてないなと思いながらも、インテリアのお店で働いていました。今思えばコスプレ活動において全部回収できましたね(笑)。

――コスプレはいつから始めたんですか。

七星めろんさん ちゃんと始めたのは、多分8年ぐらい前ですが、初めてコスプレをしたのは専門学校の文化祭で18歳の時。『犬夜叉』の桔梗様が好きで、既製品の衣装を買ってただ被っただけの状況でした。

――そこからコスプレにハマった?

七星めろんさん 当時付き合っていた彼氏が、コスプレとかフィギュアを集めたりとか「オタクっぽいのはちょっとやめてくれ」みたいな感じの人で。付き合っていた2年くらいの期間は全然アニメとか観れてないし、コスプレもやりたかったけどできなかった。別れたあとは自分の好きなことをやってやろうと思い、専門学校の友達と一緒にコスプレOKのハロウィーンイベントに『遊☆戯☆王』のブラックマジシャンガールのコスプレで行きました。

そのイベントでコスプレイヤーをしている方に声をかけてもらったんです。8年前ってコスプレのイベント自体が少ない時代で、イベントのスタッフとしても参加していた人から「一緒にゲストで来てみない?」と誘ってもらったことがあったんですけど、それが私のコスプレ人生が変わった1つのターニングポイントです。――ご縁で繋がりが増えたんですね。

七星めろんさん 声をかけてもらった人の紹介で、いろんなイベントに参加させてもらいました。アットホームなイベントが多くて、私がスタッフとして出させていただいた時の主催の方とか、スタッフの方がみんな優しくて「次もスタッフしてよ」「イベントおいでよ」って声をかけてもらえて。

徐々にフォロワーも、関東方面のコス仲間も増ました。それから多分23歳ぐらいのときに初めてコミケの存在を知ったんです。フォロワー3000人とかそのぐらいで初めてコミケに行って、「こんなにコスプレイヤーさんが集まるイベントが3日間も!すごい!」ってなったし、コミケに合わせて衣装とか作ってる人もいるって聞いてびっくりしました。

――造形に出会ったのはその時ですか?

七星めろんさん 福岡の天神でちっちゃいイベントがあって、ハロウィーンイベントで仲良くなった彼とその友達のもいもいさんっていう方がいたんです。もいもいさんも本当に親しみやすい性格だからすぐに仲良くなって、コスプレイベントとか一緒に参加することが増えました。

もいもいさんは仮面ライダーのコスプレをしたいけど、ルールが厳しいから「もう自分で作るしかない」ってことで、衣装作りを始めたそうなんです。それを横で見ながら、「私も何か造形とかしてみたいな」っていうのがきっかけです。造形の師匠で相棒のもいもいさんと出会っていなかったら、今頃造形はしていないですね。

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