

須賀健太、“元天才子役”に悩んだ過去も…パブリックイメージ武器にして見据える30代、初の舞台演出に挑む

2023年8月に上演される、劇団「ハイキュー!!」旗揚げ公演で、須賀健太が自身初の舞台演出を務める。本作の原作は「週刊少年ジャンプ」にて連載され、シリーズ累計発行部数5,500万を超える大人気バレーボール漫画。そして須賀は2015年から上演されていたハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」で、初代主人公・日向翔陽を演じ熱い支持を集めていた。「ハイキュー!!」という作品への思いや初演出への意気込み、20代も終盤を迎えた自身の活動について聞いた。28歳にして芸歴23年、かつては「元天才子役」の肩書に悩むこともあったという彼が辿り着いた、パブリックイメージも武器にする姿勢とは。
クリエイティブな目線や舞台に対する心構えを形作ってくれた作品
──今回、劇団「ハイキュー!!」の旗揚げ公演の演出を須賀さんが手掛けることになったのは、どういった経緯からだったのでしょうか?
僕は、同じくマンガ「ハイキュー!!」を原作にしたハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」で3年半、主演をやらせていただいていました。舞台は僕が卒業したあとも続いていて、2021年に完結しましたが、コロナ禍の影響で中止公演が出てしまったりして、綺麗には終わらせられなかった。そこに対して、卒業した身でありながら僕もすごく悔しさを感じていました。そんなときにプロデューサーさんから、「ハイキュー!!」という作品を演劇として残していきたいというお話をいただいて。とはいえ、さすがにもう日向翔陽役はできないので、今回は演出でということになりました。
──2021年の公演が中止になる様子を見て、卒業した身でも悔しさがあったとのことですが、ご自身が卒業したあとも、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」のことは気にかけていた?
そうですね。コロナ禍前には稽古場に遊びに行かせていただいたり、見学していろいろと意見させていただいたりして。そんなところも部活っぽいですよね。スタッフさんも、キャストの皆さんも、僕のことを信頼して一緒に作品作りをさせてくれました。そういう意味でも僕にとって「ハイキュー!!」は大切な作品だったので、自分が出ていなくても、公演中は常に「ハイキュー!!」のことを考えていました。
──劇団「ハイキュー!!」の旗揚げ公演の演出を手がけることが決まった際、「『ハイキュー!!』という作品と出会って人生が変わった」とコメントされていましたが、須賀さんにとって「ハイキュー!!」とはどのような存在ですか?
まず、舞台における僕の代表作であることは前提で。プラス、クリエイティブな面を育ててくれた作品だと思っています。演出家のウォーリー木下さんが「役のことを1番理解しているのは君たち役者だから、君たちが持ってくるものを大事にしたい」ということを常々おっしゃっていて。芝居だけではなく、どういうパフォーマンスをするかということも、みんなで作っていったんです。今の僕の、クリエイティブな目線や舞台に対する心構えみたいなものを形作ってくれた作品だと思っています。
──ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」は、パフォーマンスも含めて演出や見せ方も特徴的な作品でした。当時の演出はどのように作っていったのでしょうか?
ワークショップみたいな感じです。「こういうすごいスパイクがあります。どう見せるか皆さんで話し合ってください」というようなお題が出て、5〜6人くらいのチームで話し合って発表する。そこからウォーリーさんが面白いと思ったものを演出に取り入れていくという感じで。みんなで作っている感じが色濃かったです。すごく豊かな現場でしたね。
──当時からキャストの皆さんは自らを“劇団「ハイキュー!!」”と呼んでいたそうですが、当時のメンバーはどのような関係性でしたか?
稽古場に炊飯器が置いてあったので、みんなでご飯を食べたり、時にはお酒を飲みに行ったりして「ああでもない、こうでもない」って話をして、熱くなって喧嘩もして。別のチームに対して本当に「負けたくない」という気持ちにもなったし、エネルギーの塊のような稽古場でしたね。本当に部活の仲間、学生時代の友達のような感じで、彼らには特別なつながりを感じます。いまだにみんなでバーベキューとかやっています。
劇団「ハイキュー!!」は「泥臭い芝居にしたい」
──3年半、日向翔陽役を演じた須賀さんですが、「ハイキュー!!」という作品や「ハイキュー!!」の物語の魅力はどのようなものだと感じていますか?
人間ドラマの部分が面白い作品ですよね。生死をかけた戦いをしたり、派手な必殺技が出たりするような作品ではないですが、高校生の彼らの成長や、“負けた側”の感覚が描かれていて。中でも僕は、“勝った人をヒーローにしない”ところがすごく好きです。負けた人も、日々は続いていくわけですから。そういうところも含めて、人間らしい、いい意味で泥くさいマンガだと思います。
──では、ご自身が演出を手がける劇団「ハイキュー!!」の旗揚げ公演はどのような作品にしていきたいと思っていますか?
「ハイキュー!!」には、僕らが普段生きる中で感じる感情がいろいろ散りばめられているので、見ていてグッとくるような瞬間を大事にしたいです。あとは泥臭い芝居にしたいなというのはすごく思っています。
──稽古場の雰囲気を含めて、カンパニーとしてはどのようなものを作っていきたいですか?
カンパニーの雰囲気ってキャストによって変わってくるんですよ。だから実際に全員で集まってみないとわからないですが、一生懸命ではいたいですね。めちゃめちゃ単純なことですけど、それに尽きる。特に「ハイキュー!!」に関しては、変化球ではなく、ストレートを投げ続けることが大事な作品だと思っていて。変な小細工をしないというのでしょうか。稽古場でもそこには熱量を割いていけたらと思います。
──炊飯器も……?
置きますよ! でも、あの頃はおかずとして納豆とかキムチが置いてあって、稽古場がどんどん臭くなっていったので、おかずは変えようかなと思っています、臭くないものに(笑)。
演じることが好きというよりも、ものづくりが好き
──今回は「ハイキュー!!」という作品がきっかけで演出を手掛けられますが、須賀さんご自身としても、若い世代にお芝居を教えたいという気持ちになってきているところはあるのでしょうか?
こんなこと言うと偉そうですけど、そういう気持ちはやっぱりあって。ただそれは、「芝居を教えたい」とか「何かを残していきたい」ということではなくて。僕自身が映像、演劇含めて表現の芸術というものに救われて生きてきたので、そこを耕したいという気持ちが年々大きくなってきているんです。もっともっと気楽に舞台を見に行けるような環境になっていったらいいなと思いますし、もっともっと映像作品が増えていったらいいな、表現の幅が自由になっていったらいいなって。だから諸先輩方がやってきたように、日本の芸術に対して何か力になれたらいいなと思っています。
──ではもしかしたら今後、劇団「ハイキュー!!」以外に演出を手掛けることも?
今はとりあえず劇団「ハイキュー!!」を成功させるということに尽きますけど、クリエイティブなことをしたいという願望は常々あったので、「ハイキュー!!」に関わらずやっていけたらいいなと思います。高校生のときに友達と遊びでミュージックビデオを作っていたこともあるのですが、僕は演じることが好きというよりも、ものづくりをすることが好きなんだなということを、ここ数年感じていて。俳優部という1つの部署として、1つのピースとして作品をつくることが楽しい。だからどの部署であろうが、作品を作るということに対しての熱量は変わらないんです。純粋に現場が好きで、「これもやりたい」「あれもやりたい」の一環なのかなと思います。
「元天才子役」に悩んだ過去も…今は「パブリックイメージも武器に」
──俳優という1つのピースとして作品作りをするのが楽しいということですが、須賀さんの俳優としてのお話も聞かせてください。須賀さんは幼少期からずっと第一線で俳優として活躍されていますが、子供から少年、青年、大人…と変化していく中で、ご自身のパブリックイメージについてどのように感じられていますか?パブリックイメージがあるからこその難しさや、面白さについて教えてください。
(難しさと面白さ)どっちの面もあるかなと思っていて。ありがたいことに「○○見てたよ」と言ってもらうこともすごく多いですし、親しみやすさみたいなものを感じていただけているのはありがたい。知っているスタッフさんが多いというのも強みになります。ただ、特に高校生ぐらいの頃は「今の自分が見られていないな」と悩んだことも少なからずありましたね。「かわいいって言われたくない」と思ったり、今も役者をやっているのに「元天才子役」と紹介されてグサッと刺さることもありました。でも今は、どう見られるかは割とどうでもよくなってきたというか。僕自身がどうであれ、その役なり作品なりが評価されればいいのかなと思うようになって。そのためにはパブリックイメージも武器にして、役者をやれたらいいなと思っています。
──「どう見られるかはどうでもよくなってきた」と思ったきっかけは、何かあるのでしょうか?
特定の作品というわけではないですけど、ゲストで犯人役のお話が来るようになったことですね。それって、ある種犯人に見えないからその役のお話をいただくわけで。その意外性も武器になるんだなと気付いたときに、このパブリックイメージも悪いものではないなと思いました。
──俳優として活躍する一方で、今年は初めての演出も手がける須賀さんですが、今年で29歳。30代が近付いてきていますが、ご自身として今後の展望はどのように考えていますか?
「こういう作品に出たい」とか「こういう役をやりたい」という理想があるというよりかは、役者を続けていければいいなと思っていて。俳優って、言ってしまえば明日何をしているかもわからないような仕事じゃないですか。だから10年後も、20年後も続けていられることがベスト。その中でなるべくいい作品を残していきたいと思っています。なので「30歳になってどう」ということもないですけど、「30歳からが楽しい」みたいな話はよく聞くので、そういう意味ではワクワクしていますね。
■取材・文/小林千絵
撮影/入江達也
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