話題のドラマ主題歌「Walkin’ In My Lane」をリリースするmilet

milet、尽きない制作意欲「情熱を持って仕事に取り組む方と作業をするのはとても刺激になる」

2022.05.25 08:00
話題のドラマ主題歌「Walkin’ In My Lane」をリリースするmilet

昨年は夏に東京2020オリンピック閉会式に歌唱出演、年末には2年連続となる「NHK紅白歌合戦」(NHK総合ほか)に出場。今年冬にはNHKウィンタースポーツテーマソングに起用された「Fly High」で、どこまでも遠く、遥かな世界に飛躍できそうな伸びやかで透明感のあるボーカルを披露して、日本全国に感動と興奮を届けた、milet。そんな彼女が放送中のドラマ「やんごとなき一族」(フジテレビ系)主題歌「Walkin’ In My Lane」をリリース。次々と楽曲を生み出す彼女の原動力、近年の心境の変化など話を聞いた。

2ndアルバム『visions』は改めていろんな私の表情を描けて良かったと感じた

――昨年は東京2020オリンピック閉会式に歌唱出演、年末には2年連続となる「NHK紅白歌合戦」(NHK総合ほか)に出場。また、今年の冬は「Fly High」がNHKウィンタースポーツテーマソングに起用されるなど、さまざまな場面でmiletさんの歌声を耳にする機会が増えました。

「素晴らしい経験になりました。『Fly High』ではNHK交響楽団さんとコラボレーションしたオーケストラ・バージョンもあるのですが(EP『Flare』に収録)、それも含めたくさんの場面で耳にすることができました。冬季スポーツの多くの場面で流していただいたのですがうれしい場面、悔しい場面、どちらにもフィットするものになったと思いますし、またバラエティー番組でも流していただくことが多く、楽曲が幅広く浸透しているんだなって。おかげで日々TV番組をチェックするのが日課になりましたね(笑)」

――今年2月には「Fly High」も収録された2ndアルバム『visions』もリリース。こちらもヒットチャート上位にランクインし続け、高セールスを記録しています。リスナーからの反響はいかがですか?

「アルバム『visions』は、私の全てを皆さんに知っていただきたいと思って制作した、特別な1枚。それを受け入れていただけているのならばとてもうれしいことです。実は洋楽テイストの楽曲もいっぱいあって、楽しんでいただけるのか不安もあったんですけど、そういうサウンドが好きなリスナーの方々もたくさんいらっしゃって、改めていろんな私の表情を描けて良かったと感じました」

――3月にはEP「Flare」も発表するなど、怒涛のリリースが続いている中、早くもシングル「Walkin’ In My Lane』がリリースされます。

「私にとって初のシングルCD作品になるので、エネルギーを感じていただけるものに仕上げたかった。結果、シンプルなポップスだからこそ伝えられるメッセージや親近感を表現することができたと思います」

――親近感といえば、ジャケットもこれまでにはないカジュアルなパンツスタイルですよね。

「今までで一番カジュアルなジャケットかもしれません。私も弱音を吐くことだってあるし、何かにしがみつきながら頑張っている姿をビジュアルでも示したかった。だから、このシンプルなスタイルにして、親近感を持っていただけたらと思いました」

あえてポップさを表現して、ドラマのドロドロ感を中和する役割になったらいいのかなと思って制作しました

――タイトル曲である「Walkin’ In My Lane」は、ドラマ「やんごとなき一族」(フジテレビ系)の主題歌として書き下ろされた楽曲。この作品は原作漫画がありますが、ドラマのお話が来る前からご存じでしたか?

「存在は知っていたのですが、タイトルのインパクトの強さに圧倒されて読むのを躊躇っていたんです(笑)。でも、このお話をいただいて目を通すと、一瞬にして世界に引き込まれました。恋愛漫画って、結婚が最終地点で描かれるものが多いですが、この作品はそこからスタートするところが面白かった。また、主人公である佐都は、それまで暮らしてきた環境とは全く違う世界で、ひどい仕打ちに遭いながらも、よく耐えていられるなとか。読み進めるごとに沼にハマっていくような感覚でした(笑)」

――ドラマは、由緒ある名家に嫁いでしまった主人公が、そこに流れるしきたりや愛憎に戸惑いながらも、何とか愛する人との生活を守ろうと苦闘する物語ですよね。物語のどういう部分を表現しようと思いましたか?

「ドラマで描かれているのは浮世離れした世界なのですが、主人公の佐都は普通の女の子で、孤独と向き合いながら必死に愛する人との生活をまっとうしようと闘っている。その姿に、自分自身を重ねることができたし、誰しもが同じ不安を抱えながら毎日を過ごしているのではないかって。そこをヒントに楽曲を制作しました」

――制作は大変でしたか?

「頑固で諦めの悪いところとか、家族を何より大切にする気持ちなど、佐都と共感できる部分が多かったので、そこをベースにして考えたら、思いのほかすんなりと制作できました」

――圧倒されるほどの激しい人間ドラマになっていますが、楽曲は正反対のカラッとしたポップな仕上がりです。

「ドラマがドロドロな愛憎劇なので、それに寄せたダークな楽曲にしてしまうと、作品全体の雰囲気がダークになってしまいそうな気がしました。だから、あえてポップさを表現して、ドラマのドロドロ感を中和する役割になったらいいのかなと思って制作しましたね」

――ドラマのスタッフの方からは、楽曲に対して何かリクエストはありましたか?

「ドラマの世界から感じたことを自由に表現させていただいたものを、何曲かお渡ししたなかで、一番ポップなものを選んでいただいたという感じです。私自身も、候補の中でこれが一番思い入れの強いものだったので、選んでいただいてうれしかったです」

音楽活動を仕事にすると決めるまでは、他人任せで毎日を過ごしてきた気がします

――これまでもデビュー曲である「inside you」など、ドラマ主題歌を担当されていますが、ご自身と制作サイドで思いにギャップがあったこともありましたか?

「そうですね。ドラマ主題歌をはじめタイアップのついた楽曲では、必ずしも自分の意見が通ることはなくて、客観的な視点から別のものが選ばれることもあります。でも、それによって多くの人に響く楽曲は何かを勉強できましたし、また自分の表現の引き出しが増えるような感覚も生まれる。いろんなことにチャレンジできる機会を与えていただいているというありがたい気持ちが強いです」

――何事も吸収しようとするポジティブな意識は素晴らしいですね。

「特にドラマの主題歌は、細かいリクエストをいただくことも多いので、大変ではあるのですが、その要望を一つ一つクリアしていく作業はゲームをしている感覚に似ていて、最後には充実した気持ちになります。また、何か情熱を持って仕事に取り組んでいる方々の中に入って一緒に何かを作ることは、とても刺激になりますね」

――「Walkin’ In My Lane」でも、どんな困難な課題もポジティンブに昇華させ、自分だけの道を築いていく、情熱的で輝いたmiletさんの姿を感じることができました。

「自分の好きなことを仕事としてやらせていただいても、常に笑っていられるわけではない。でも、そこを飲み込んで笑わなくてはいけない葛藤を抱える瞬間もあります。それでも、自分の決断した生き方なのだから、その道を進んでいく。私は私のやるべきことをやっていくという決意をこの楽曲で表現できたのかなって思います」

――音楽があるからこそ、強い決意を持ち続けられる?

「音楽活動を仕事にすると決めるまでは、他人任せで毎日を過ごしてきた気がします。でも、活動していくうちに、自分の行為一つ一つに責任を負わなくてはいけないという気持ちが強くなっていったというか。最終判断を自分でする機会が、いろいろ増えてきたと思います」

――ではもしドラマの主人公の佐都のような状況になったら、miletさんはどう決断、対処されますか?

「う〜ん、自分に置き換えて考えると悩むところですよね(笑)。佐都には、とても優しいお母さんがいて、いつでも実家に戻ることができるのに、愛する人との生活を選んだばかりにとんでもない試練の日々が待ち受けることになってしまう。私は、きっとすぐに逃げ出したい気持ちになるのかも。でも、心から愛する人と生きられるのならば、試練を選んでしまうのかなって。でも、その前に旦那の健太さんがしっかりフォローしてあげてよ!って思いますが(笑)」

――ちなみに。ドラマをご覧になられて制作されたのですか?

「残念ながらドラマを拝見できずに制作していたのですが、原作や台本に目を通すたびに主役の土屋太鳳さんの顔が頭に浮かんでしまって……あんなキュートな人がひどい仕打ちを受けるなんて!ってオンエア前から心を痛めていました(笑)」

――この楽曲のミュージック・ヴィデオはどんな内容になっていますか?

「大雨のなかで撮影したシーンもあって、青春な雰囲気を味わっていただけるのかなって(笑)。また、人と寄り添うことの大切さを感じてもらえるのではないかとも思いますので、ぜひチェックしてください」

結構先まで考えていまして、もう楽曲制作意欲が止まらないんです

――また、このシングルには2つのカップリング曲も収録されています。

「Love When I Cry」は、最初はシンプルで夜を感じさせるサウンドですが、徐々に音や光が加わっていくようなドラマティックな展開が印象的なエレクトロニック・チューン。

「この楽曲は、デビュー前からストックしてあったもので、いつか発表できたらと思っていたんです。元々は2曲のみ収録のシングルにするつもりだったのですが、それらが両極端な雰囲気だったので、緩衝材のような役割が必要だと思い、この楽曲を引っ張り出してきたという感じでした。でも、作り始めるとアレンジャーのTomoLowさんが、楽曲の世界を広げてくれたというか。小さな部屋の片隅から宇宙へとトリップさせてくれるような展開にしてくださって、とても聴き応えのある仕上がりになりました」

――続く「My Dreams Are Made of Hell」は、タイトルからしてダークな英語ナンバー。「Fly High」などでmiletさんを知ったリスナーにとっては驚く世界になるかもしれません。

「実はデビュー当初はダークめな楽曲を多く発表していたのですが、最近はそういう方向のものを発表していなかったので、挑戦してみたかったというか。『Walkin' In My Lane』がポップな仕上がりなので、その反動で制作してみたくなった原点回帰の1曲です。これは1番、2番みたいなJ-POPのような明快な構成ではなく、異なるメロディー展開で完結させた、新しい試みができた楽曲でもあります」

――この楽曲では、どういう世界を表現しようと思いましたか?

「楽曲を制作するときは、いつもショートムービーのような映像を頭の中に思い浮かべて、それに合う言葉を歌詞にするということが多いのですが、この楽曲では私がクリスマスの夜に見た夢から生まれたものになります。サンタクロースが登場したファンタジーな世界を見たかったのに、実際は悪魔が登場して目覚めが酷くて(苦笑)。それを思い出して完成させた楽曲になります」

――確かに、ティム・バートン監督の映画のような恐ろしさのなかにファンタジーを感じるような仕上がりになっている印象がしました。

「ギレルモ・デル・トロ監督(2017年公開映画『シェイプ・オブ・ウォーター』で、アカデミー作品賞、アカデミー監督賞を獲得)の世界に近いのかもしれませんね。より毒々しさが強い感じ」

――この楽曲のボーカルでは、あえて感情を消しているような印書がしたのですが。

「ビジョンがはっきり見える楽曲に関しては、あんまり声の脚色をしないようにしています。感情を入れ過ぎてしまうと、ドラマティックになりすぎるというか。想像の幅が限定されるような気がする。あえて感情を制限することで、リスナーのみなさんそれぞれに異なる世界やダークさを体感していただきたいなと思いました」

――この3曲でアルバム1枚に匹敵するほどの、聴きごたえですね。

「ありがとうございます!」

――それにしても、半年足らずで1枚のアルバムと2枚のEPを発表。また4月にはツアーを終えて、7月20日には一夜限りのスペシャルライブ「milet 3rd anniversary live “INTO THE MIRROR”」の開催、さらに8月のサマーソニック出演も決定しています。すでに1年分くらいのボリューミーな活動をされている2022年ですが、今後はどんなことを考えていますか?

「実はもう結構先まで考えていまして、もう楽曲制作意欲が止まらないんです。特に4月まで開催していた全国ツアーを通じて、観客の皆さんからたくさんのポジティブなエネルギーをいただいて、さらに制作意欲が増した感じ。今後はフェス出演なども決まっていますし、さらにライブを意識した楽曲を制作したいですし、またポップな楽曲だけでなくダークな部分もより追求していけたらとも思っています」

――最後に、今回のEP『Walkin’ In My Lane』を通じてリスナーに届けたいメッセージをお願いします。

「今回のシングルは、大勢で盛り上がって聴くというよりも、ひとりじっくり自分と向き合って楽しんでいただける作品になったと思います。なかには、孤独を抱えながら日々を過ごしている人もいるはず。これを聴いていただけたら、同じ気持ちを抱えている人は他にもいるんだということを感じていただきたい。孤独であることをポジティブなエネルギーに変えていただけたら。皆さんのそばに寄り添う作品であることを願います」

取材・文=松永尚久

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