むくみ、肌荒れ、イライラを引き起こすPMSを乗り越えるためには 美人精神科医が“心の闇”に警鐘

【モデルプレス】過食やむくみなど体調の変化に加え、情緒不安定や悲観的になってしまうなど精神的変化を及ぼすPMS(月経前症候群)。女性の大半が抱えるこの問題に対し、専門家が警鐘を鳴らし、いかに克服すべきかを示した。
月経前症候群をはじめ、身近に潜む精神疾患について語った高木希奈氏【モデルプレス】
月経前症候群をはじめ、身近に潜む精神疾患について語った高木希奈氏【モデルプレス】
精神科医の高木希奈氏(36 ※高は旧字)が新刊「あなたの周りの身近な狂気」(セブン&アイ出版)を刊行。本書では、月経前症候群やうつ病、パーソナリティ障害、依存症など身近に潜む心の病を8篇のエピソードをもとに、解説を添えて紹介。フィクションのストーリーで疾患の過程や症状を説明していく。

モデルプレスのインタビューに応じた高木希奈氏
モデルプレスのインタビューに応じた高木希奈氏

ほとんどの女性が当てはまる?月経前症候群を解説



― 「あなたの周りの身近な狂気」の刊行、おめでとうございます。いかに職場や家族など身近に「心の闇」が潜んでいるか考えさせられました。とくに月経前症候群は、多数の女性が悩まされているように思います。

高木先生:腹痛に過食やむくみ、だるさや肌荒れなどの身体的症状と、悲観的になるなど精神症状が出現するのがPMS(月経前症候群)。また、PMSに加えて、精神症状がより重篤になるPMDD(月経前不快気分障害)というものがあります。私自身も生理前にはPMSに悩まされています。

― 高木先生ご自身もPMSに悩まされているのですね。

高木先生:それほど症状がひどいというわけではなく、その月によってはこれといった不快もなく過ぎることもありますが、やはり眠気、むくみや過食、できものや肌荒れといった体の変化に悩まされることは多いです。症状が重たいときには、物事全てを悲観的にとらえて些細なことで悶々と思い悩んでしまい、泣けてくることも。こういった状態のとき、最初は生理前の変化だと気づきにくいのですが、手帳を見たり、生理が始まったりすると「PMSの症状だったんだ」と思います。私の場合、日常生活にさほど支障をきたさないので、治療はしていませんが、PMSやPMDDの症状が日常生活に影響を及ぼすのであれば治療対象になります。

― 実際にどれくらいの女性が抱えている問題なのでしょうか?

高木先生:データの取り方によって異なってくるため、正確な数値はわかりませんが、軽症のものまでを含めると、ほとんどの女性が当てはまるのではないでしょうか。大手衛生用品メーカー、ユニ・チャームの調べによれば、約8割がPMSの症状を抱えているそうです。

― 病院へ行くということに抵抗がある女性も多いかと思いますが、どのように対処したら良いか教えてください。

高木先生:「ストレスを溜めない、無理をしない」ということが一番大切。例えば予定を入れ過ぎないとか、自分の好きなことをしてストレス発散、リラックスしたり、バランスのよい食事や睡眠など規則正しい生活を送ることです。

― 一方で、病院で治療を受けるべきという基準はどこにあるのでしょうか?

高木先生:すべての精神疾患に言えるのですが、「自分自身が困る」か「周りの人が困る」かが病院で治療を受けるかのポイントとなってきます。症状がひどく、日常生活に支障が出るほど困っている、もしくは自分ではそれほど気にしていなくても、周りを振り回してしまうほど影響が出た場合ですね。日常生活への支障の有無を基準に、治療を検討していただくと良いかと思います。

― 月経前症候群を紹介したエピソード8に登場した美和子の場合ですと、夫の理解やサポートが大きかったように思います。

高木先生:そうなんです。とくに家族や恋人など親しい人の理解は必要だと思います。職場においても、さぼっているわけではない、仮病ではないということをわかっていただきたいところですよね。

高木希奈氏
高木希奈氏

女性が注意したい精神疾患



― モデルプレスは10~30代女性の読者が多いのですが、今作で紹介されている8つの疾患の中で、月経前症候群以外に注意したい精神疾患はありますか?

高木先生:若い女性に多いのが境界性パーソナリティ障害です。これは、自身のアイデンティティが確立されておらず見捨てられ不安が強い、思考の二極化、対人関係や感情が不安定といった特徴があげられます。エピソード3の症例はわかりやすいように少し誇張して書いた部分はありますが、「束縛が異常に、もしくは異様に激しい」といった性格も疑ってみたほうがいいかもしれません。こういった傾向にある人は結構いるのではないでしょうか。中でも20代の女性に多く見られます。

― 20代女性に多いということに驚きました。どのように気をつければいいのでしょうか?

高木先生:なかなか対処が難しいところです。幼いころの環境的要因もありますし。もし、こういった人が身近にいたとして、その人のすべてを受け止められる度量があればいいのですが、ちょっと関わろうとすると相当振り回されてしまうと思うんですよね。それに振り回されずにどんと構えていられればいいのですが、大抵の人は振り回されてしまい、疲れきってしまうというのがほとんど。付かず離れずくらいに接するのが良いかと思います。境界性パーソナリティ障害以外では、アスペルガー症候群も近年、若い方に多く見られます。子どもの頃は問題なく過ごせても、大人になって職場や学校で不適応を起こし、診断したら実はアスペルガー症候群だったと発覚するケースも多いですね。また、アルコール依存症の女性患者の増加も目立っています。

― そうなんですね。アルコール依存症も恐ろしい疾患ですよね。

高木先生:「飲めないから大丈夫」と思っている方もいらっしゃるかと思いますが、お酒が飲めなくても依存症になってしまうこともあります。誰しもが陥る可能性があるということです。

― アルコール依存症の女性患者が増加した要因を、高木先生はどのようにお考えですか?

高木先生:女性の社会進出があげられます。以前は、結婚したら家庭に入るといったケースが一般的でしたが、今では仕事と両立させ社会で活躍されている女性が多数いらっしゃいます。付き合いでお酒を飲む機会も増えたでしょうし、そういったことが影響しているのではないでしょうか。その他、仕事、家事、子育ての両立と、それに対する男性の理解が薄かったりするとストレスが溜まりお酒にはしってしまうことや、男性と比べると女性は体格や肝臓が小さかったり、女性ホルモン、体脂肪率が多いことから、血中のアルコール濃度が上がりやすく、より少量でも依存症に陥る危険性があります。実際に依存症になるまでの期間は女性の方が短いのです。

― では、お酒を飲むうえで気をつけるべきことを教えてください。

高木先生:飲む量よりも飲む頻度が重要です。毎日お酒を飲むのが習慣の人は、週に数日は休肝日を設けるなど、自分で飲む量、そして飲む頻度を決めて、コントロールしていくことが大切です。

高木希奈氏
高木希奈氏
高木希奈氏
高木希奈氏

心身ともに健康に過ごすために



― 現代社会を生きるうえで心身ともに健康に過ごすにはどのようにしたらいいのでしょうか?

高木先生:ストレスを溜めないことが一番大切だと思います。患者さんの多くは、上手にストレス発散ができないのです。趣味や楽しめることがなく、抱えているストレスをどんどん自分の中に溜め込んでいってしまうのでしょうね。また、とくに統合失調症に多いのですが、罹患しても病識(自分が病気であるという認識)がない場合がほとんどなのです。家族や職場の人に連れられて受診するというケースが多いですね。罹患してしまった場合は、主治医を中心に看護師やコメディカルの意見を聞いて治療することが大切です。

― 本では、周りの人のサポートがあって立ち直っていく主人公たちの姿が描かれていますね。いかに周囲が異変に気づき、支援することが大切なのかわかりました。

高木先生:どんな病気でも早期発見・早期治療が大切だと言われますが、精神疾患でも同じことが言えます。病気を発症してから、治療までの期間が長引くほど治るのにも時間がかかる。発症してからすぐに病院へ行き、治療を開始すれば早く治ることが多いのです。身近な人が、「普段と違う」、「昔と比べて変わってきた」など、少しでも疑問に思う点があれば医師に相談することをおすすめします。今回紹介したエピソードの登場人物たちは、治療を受けて前向きな一歩を踏み出していますが、実際はなかなかこのようにうまくいくことばかりではありません。

― では、想定される最悪のケースとは?

高木先生:自殺や周りに危害を加えてしまうことがあげられます。そうならなくても、社会復帰ができず入院が長引く、家に引きこもって仕事ができない、外出ができなくなってしまうといった事態も起こり得ます。

高木希奈氏
高木希奈氏

高木希奈氏の願い



― これまで「精神科女医が本気で考えた 心と体を満足させるセックス」(徳間書店)、「女医が教える女のカラダ」(日本文芸社)などの著書をお持ちの高木先生。これらに対し、今回は異なった切り口ですが、今作への思い入れをお聞かせください。

高木先生:今までの本は、体や性といったアプローチで執筆しました。今回は、私が精神科医としての仕事をしている中で感じたことを本にしたいと思ったことがきっかけです。多くの方が、精神疾患に対する誤解や偏見をお持ちだと思うんです。その誤解をといて正しい理解と知識をみなさんに持ってほしいと願っています。また、「医療や精神疾患について知らない方たちに読みやすい本を」と考えたとき、専門書のようですと読みにくく、興味を持っていただけないと思い、わかりやすく小説のようなストーリー仕立てにして、それに解説を添える形をとりました。読者の方が「自分が思っていたものと違うな」と、より親密に感じてもらえればと思います。そういえば、4月から堺雅人さんが精神科医の主人公となって、「Dr.倫太郎」というドラマが始まるそうですね。現代社会の「心の闇」を鋭くえぐるストーリーというコンセプトは、まさに私が今回の本を書く上で目指した路線と同じです(笑)。

― では、最後にメッセージをお願いします。

高木先生:精神疾患に対する正しい知識と理解を持っていただきたいと願っています。ひょっとしたら、本書を読んで「自分もそうじゃないか」「あの人、これに当てはまるんじゃないのか」と思い当たることもあるかもしれません。少しでも引っかかるものがあれば、気軽に医療の力を借りていただきたいと思いますね。

― ありがとうございました。

いかに身近に心の病が潜んでいるか注意喚起し、周囲の人々のサポートの重要性を語った高木氏は、物腰柔らかな口調でインタビューに応じてくれた。精神疾患への誤解と偏見をなくし、理解を深めたいと願いを込めた新刊「あなたの周りの身近な狂気」は、多くの読者の胸を打つことだろう。(modelpress編集部)

高木希奈氏
高木希奈氏
高木希奈「あなたの周りの身近な狂気」(セブン&アイ出版 2014年12月16日発売)
高木希奈「あなたの周りの身近な狂気」(セブン&アイ出版 2014年12月16日発売)
■高木希奈(たかぎ・きな)氏 プロフィール

精神科医。1978年、長野県に生まれる。聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、国立精神・神経センター武蔵病院(現:国立精神・神経医療研究センター病院)精神科、桶狭間病院 藤田こころケアセンター精神科を経て、現在は精神科の訪問診療に従事するかたわら、産業医として数社の企業に勤務する。精神医療全般に関わり、豊富な臨床経験を生かしてテレビやラジオ、雑誌媒体でも活躍中。

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